ADHDを持つ中学生Cくん、どこまでサポート?<その1>

ADHD

更新日 : 2017年7月21日

みなさま、こんにちは。今は夏休みですが、ブログも4回目となった今回は、私の本業に関わるトピックです。そのトピックに関する英語表現も交えて書き綴ってみました。

私がK-12*のスクールサイコロジストとして関わる児童・生徒の抱える問題や環境は、本当に多岐にわたります。今回話題にしたいケースは、middle schoolから high schoolへのtransitionの最中にいる、ある14歳の男子生徒Cくんについてです。このケースは現在進行形であり、自分自身への反省も込めて、またfood for thought**として、あるいはこんな人・子ども周りにいるいる、なんていう目線で読んでください。

*K-12 (K through twelve): Kindergarten through 12th gradeの略。日本の幼稚園年長から高校3年生、年齢にして5歳から17・18歳、の学齢期をさす。
**food for thought: Anything that provides mental stimulus for thinking. 精神的刺激を与える何か考えること、トピック。

Cくん、医学的診断こそ付いていないものの、かなりAttention Deficit & Hyperactivity Disorder(ADHD)***の症状を持っています。父親は地域の人望あるsheriff(警察官)、母親は地域ボランティアに熱心な行動派専業主婦、二卵性の双子の弟と、年の離れた大学生(20歳)の兄がいる家庭で育っています。家族の仲は良く、スポーツ特待生の兄を崇めて自分もそうなりたいと願う、Justin Bieber 似の今ドキな中学生、ちょっと長めの金髪を流した髪型のイケメンです。

***ADHD: 注意欠陥多動障害、発達障害の一種。この脳機能障害があると、じっとしていられない、注意散漫などの特徴を示す。

ADHD

周囲の人のインタビューや行動観察をしていく中で気づいたCくんの、長所を含めた行動特徴は、

– Social Butterfly, fun-loving (クラスの『おもしろ男子的』立ち位置にいて、冗談も頻発。友達もたくさん、おもしろいことに目がない)
– Blurting out impulsively(したがって、授業中指されていないのに衝動的に言葉を発してしまい、笑いを取ろうとする)
– Full of energy, athletic, intelligent, and polite(行動的、スポーツ万能、頭の回転が早く、大人受けする礼儀正しさも併せ持っている)
– Disorganized (宿題をしても提出するまで至らず、カバンの中はぐちゃぐちゃ!)
– Tic-like behavior (脳機能に関連するかもしれないチック的症状あり。頭と髪を頻繁に横に振るしぐさが「カッコつけ」的だが無意識的と思われる)

Cくん、私に対しても茶目っ気たっぷりに “Yes, ma’am” と返事し礼儀正しい事この上ない。父親にも”Hey pop!” “Yes, sir”をうまく使い分け、愛されキャラでなんだか可愛いのです。 知能検査の成績は平均以上、読解力も語彙力も高く、学校の成績低下は5年生ぐらいからであること(発達障害、特に学習障害の場合より早期に疑われるのが通常)、父親も繰り返し「自分もそうだった」「男の子にありがちな行動」と言い深刻さが欠けていること、兄弟に適応問題はないこと、本人も「特別支援」が必要と認識していない・したくないこと、繰り返し自分は「やればできる」と自信たっぷりなこと、 などなどを総合して判断して、支援チームで支援プラン(The 504 plan)****は立てるけれども、個別教育支援計画 (IEP)****を立てるまでには至らない、学習面は様子見、周りの人の理解を促すに留めるという結論になったのです。

このアセスメント結果は、しかし「これで充分だったか」と私を悩ませていました。この3月のことです。案の定、6月になって先生たちの声がさらに強く聞こえてくることになりました。先生たちは、Cくんの blurting outがあまりに頻繁で授業妨害になっており、それが彼の「集中できない」ことのcamouflage(カモフラージュ)になっているという認識が強まりました。数学に関する学習障害の疑いもあります。

この8月に始まる高校生活、Cくんは成績を上げなければ大好きなアイスホッケーを続けられない、という局面に立たされています。

そこで私はチームリーダーとして、 高校に場を移して支援チームを再結成し、Cくんのサポート態勢を整えることに決めました。明日から夏休み!という日の決定 です。

甘やかさずどこまでサポートすれば良いかを含めた再アセスメント、果たして吉と出るか凶と出るか、状況は結構複雑です。このように、子ども達の学校生活を左右する決断を、私は迫られることが多いです。。。

<その2>にて、Cくんの様子やケースとしての経過を数ヶ月後にまたレポートしたいと思います。

****504 plan & IEP: それぞれ別の連邦法で決められている児童・生徒への特別支援の枠組み。大きな違いはIEPには予算が出ること、法的義務・拘束力が高いこと。

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池田 真依子

池田 真依子

アメリカ広報担当Q-Leap
全米・カリフォルニア州認定スクールサイコロジスト、通訳・翻訳者。 筑波大学大学院教育研究科・臨床教育学修士(MS)、米国サンディエゴ州立大学大学院カウンセリング学科学校心理学プログラム修了(MA & EdS)。日本にて小中学校職員及びカウンセラー、大学カウンセリングチームメンバーとして勤務。カリフォルニア州にて自閉症児への行動セラピスト、特別支援学級職員として勤務。学校心理学関係の研究員、特別講師を兼務しつつ現職。

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