日本に居ながらの英語力の維持


本当に久しぶりにブログをアップします。
書こうと思うといろいろと考えてしまうので、ここからは少し気楽により頻繁に書けるようにしようと思っています。
今日は自分の英語力をどうやって維持するか、ということについて。
私たちは外国語環境(外に出れば日常的に英語を話す機会がほぼない環境)に住んでいますので、意図的にトレーニングしないかぎり能力はどんどん退化します。
これは英語に限らず、なんでも一緒ですよね。しばらく使わないと脳が要らない知識だと思って容量確保のために忘れていってしまいます。以前は滞ることなくできたお茶のお手前も、お稽古を離れて久しいので、もはや教本を見ないと忘れている手順ばかりです。
私が英語の能力を少なくとも退化させない(できれば上達したい)と思って毎日一定の時間をかけていることはいくつかありますが、どれも特別なことではありません。
自宅にいるときに最も頻繁にやるもののひとつが
Distraction (集中力を切らす要因)がある中でのリスニングトレーニング
です。ふつうはリスニング中は集中力をなるべく切らさないで済む環境を用意しますが、トレーニングなので逆をやります。
一般のリスニングに比べて負荷をかけているところは
1)他の作業をしながら聞く
2)雑音の入る環境で聞く (イヤホンではなくスピーカーやテレビからの音)
3)画面はあっても見ない
4)聞こえてきたものを全て文字化(もはや文字のイメージに近いです)しながら聞く
5)聞こえてきたイントネーションを必要なところは頭のなか、または口頭でリピートする
どんな単純なトレーニングでも負荷をかけたり減らしたりすることで自分に意味のあるレベルのトレーニングにすることが可能です。上の1~5は私に必要なトレーニングなのでやっていますが、皆さんもご自分のトレーナーになって自分を鍛えることが思い立った時から可能です。
私にとってリスニングだけに時間を取るのは毎日の生活の中ではなかなか難しいことです。座って聞くだけ、というぜいたくな時間はなかなかやってきません。仕事のある大人は机に向かって勉強だけしようと思えば何かを犠牲にする以外難しいでしょう。私も他の仕事をやりながらのリスニングなので大抵マルチタスクです。例えば今はこれを書きながらCNNのニュースを聞き、聞こえてくる一言一句を文字化する練習を頭の中でやっています。他の作業でPCに文字を打っている時はかなり認知に負荷がかかるので完璧には聞き取りにくいですが、それでも途切れそうになるものを繋げながら、途切れたらまた耳で捕まえられるところから文字化をします。そうすること自体がトレーニングですので、より負荷の低い環境ではより聞き取りが楽になります。たまに「?」という単語が出てきますので、それが必要だと思えばメモを取り、ボキャビルをしています。トランプ氏が次期大統領に決まって以来、かなりの量の新しい「ネガティブ表現」が私のメモに加わりました。こうやってほかのタスク(distraction)のある中で脳の半分をリスニングに集中させるトレーニングは自分には向いているようです。
このトレーニングではイヤホンで聞かずにテレビやスピーカーから出てくる音にすることで、周りの雑音の中で細かく聞き取るトレーニングにもなります。さらに一部はシャドーイングすることで口も動かします。
聞き取るときに意識しているのが (1)話者の口の形や口腔内の動きを音から想像する (テレビを使っていてもトレーニングの時は画面はほとんど見ません) (2)発話のイントネーションの上げ、下げ、維持を意識して必要な時は口に出して真似する、の2点です。これをすることで、音を聞いただけで知らない単語でも正しいスペルを想像することができるので、知らない単語に耳が出会った時も調べやすいですし、発音に敏感になれます。
私自身は学習のために最も必要なのはraising awareness (意識を上げて気づきのある学習をすること)だと思っています。どんな目的をもってどんなトレーニングをするのかで身につく筋肉も違ってきますよね。
皆さんもお気に入りの素材でご自身の筋トレメニュー、作ってみてください!
12月初旬はいよいよ年に一度のGeoff Lindseyの発音セミナーです。彼との週1回30分のSkypeレッスンも私のトレーニングのルーティンです。
12月4日だけ2席残っています。ご興味のある方、ぜひご参加くださいね!
著者について

浅場 眞紀子
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