Mar 1st, 2019

第1回「話せる英語ドリル300文」活用法


こんにちは!Q-Leapの浅場です。
ブログを書くのは本当に久しぶりです(どれだけさぼっているのだろうか、と反省しました)。今回、2018年12月に出版した「話せる英語ドリル300文」の活用方法などについて少しずつ回数を重ねてお話していくつもりです。毎回全体的な事や各ユニットのより細かい扱い方などについて解説しようと思っています。このテキストを使って発話力を上げたい学習者の皆さん、是非ご一緒に学習を進めて行きましょう。そしてこれからこのテキストを使って指導することをお考えの先生方の参考にもなれば尚嬉しいです。

 

今回はこの本を書きたいと思った経緯について少しお話しします。

他言語を流暢に話す、ということのメカニズムにそもそもとても興味があったことから、2014年の夏にロンドン大学の夏期音声学コース(Summer Course in English Pronunciation =SCEP)に参加しました。そこで出会ったDr. Geoff Lindsey(ロンドン大学名誉講師)からそれ以来指導を受けてきましたが、私たちが大学院のTESOL過程で学んだこと、Geoff先生から学んだこと、多くの生徒さんを指導していく中でさらに私たちが気づいたことを一度まとまった形でご紹介したい、というのが動機でした。

日本人の英語がなかなか流暢さを伴うことができないのは、発音のせいもありますが、イントネーション(音の高低=ピッチのコントロール)やストレスに対する理解が少ないことが大きいのでは、と常々感じていました。ある程度のスピードで流暢そうに話しているのに全く英語らしく聞こえない理由の多くはイントネーションやストレスの置き方であることが多いです。英語のイントネーションは聞き手に音だけで構文や句読点や情報の重要度を伝えるという大事な役割を持っています。ですからイントネーションのルールを知ることは効果的な伝え方のために大変有効ですし、その多くは知ってなるほど、と納得のいくものばかりです。この本の中でも多くの基本ルールをご紹介していますが、全ては効率的な意味伝達のためにあります。

苦労したイントネーションの可視化

 

そのような理由から、この本で最も時間と労力をかけたのがイントネーションの可視化 (本書 Step 2)の作業でした。それまでGeoff先生と一緒に学んできたイントネーションの基本ルールを踏まえ、すでに決まっていた例文にラインを加えていったのですが、これが思った以上に大変な作業になりました。

イントネーションを可視化したラインはもちろん手書きなのですが、文字の上にラインを加えていくことはとても手のかかる細かい作業です。ブレが出ないようにDTPを担当してくださった方から「各例文の上に音楽の五線譜のようなラインを引いたもの」を使う案を出していただき、まずは私たちがそこにラインを引き、ラインが決定となったらDTPの方がそれを元にきれいに線を引き、最後に五線譜のラインを消す、という細かい対応をしていただきました。

それ以外にもイントネーションの可視化に関しては少し不安がありました。イントネーションはそもそも話し手が強調したい内容や置かれた状況によってある程度変化するものなのです。今回は文脈のあるパッセージではなく単文なので、「特別な文脈を持たない最もデフォルトのイントネーション」」という定義で決めたのですが、例文によっては最後まで悩むものもありました。毎日ラインとにらめっこしてはGeoff先生に決めかねる点を相談していましたが、彼に「イントネーションをここまで可視化する試みは今までにないから是非頑張りなさい。とてもチャレンジングで素晴らしい!」と言われたのが大きな励みになりました。

さらにこれが書籍になるまでには初校、再校、念校、と校を重ねてもどんどん出てくる赤(涙)と戦う毎日でした。。。イントネーションに脱落にリンキング、さらに内容語と機能語の表記を変えるという全てを可視化する試みに編集者さん、校正者さん、デザイナーさん、そしてDTPの方、と多くの方のお力と忍耐力をお借りできたからこそ完成することができました。皆さんに改めて感謝いたします。読者の皆さんからは「イントネーションや発音が見えるのがとても便利でわかりやすいです。」と感想をいただいています。良かった!

 

録音の日

最後はナレーターさんとの録音の日。ナレーターさんは原稿を初見で読んでくださるのですが、苦労して引いたラインをプロのナレーターさんに「僕はこうは読まない」と却下されてしまったらどうしよう??という心臓バクバク状態でスタジオに入りました。ナレーターさんはChris Koprowskiさん。今までも何度もお仕事させていただき最も信頼している彼にお願いしました。彼がOKならきっと大丈夫!と。
結果、いくつか訂正はあったものの本当にスムーズに録音を終えることができ、「何も不自然なものは無かったよ」とChrisさんから言われた時、肩の荷がどっと下りました。一番嬉しかった瞬間です。

 

今、企業研修でこの本を活用していますが、初級者から上級者までの使用に耐える実感があります。
流暢な発話のコツを最大限本書から学んでいただけたらと思います。

第2回からは実際の書籍の使い方についてお伝えしますね!お楽しみに。