太っているかどうかは体重計ではわからない

更新日 : 2018年12月11日

12月は忘年会シーズン、会社や同僚、友達や家族との飲み会やパーティーなどが続く中、やはり気になるのは体重ですよね。でも、高価な体脂肪計付き体重計は不必要です。今回のブログでは、ずっと安くて効果的に健康管理ができる方法を教えますよ。

そもそも、太っている(obese)ってどう決めるのでしょうか?日本肥満学会では、肥満度の指標であるBMI(Body Mass Index)が18.5以上25.0未満を普通体重とし、それ以下を低体重、それ以上を肥満としています (BMIは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で計算できます)。例えば、170cmの人の体重が53kgから72kgの範囲だと標準体重、それ以上だと太っている、ということになります。でも、この「体重が重い=太っている」という考え方に大きな落とし穴があります。

肥満(obesity)とはどういうことかを説明するために、ここに架空の男性3人、Q太さん、L夫さん、P助さんに登場してもらいます。3人とも身長170cmの25歳ですが、体重はQ太さんは75kg、L夫さんは90kg、P助さんは53kgです。BMIで考えると、P助さんが健康体でQ太さんとL夫さんは肥満体(obese body)ということになりますが果たしてそうでしょうか?

実は、Q太さんはボディービルダーで体脂肪(body fat)が低く、肥満体からかけ離れたマッチョな健康体です。L夫さんは柔道家で、皮下脂肪(subcutaneous fat)の下には大きな筋肉が発達し、内臓脂肪(visceral fat)が低い機能的な身体(functional body)です。P助さんは運動嫌いの会社員で、筋肉がなく内臓脂肪がたまった典型的な“かくれ肥満(skinny-fat)”です。つまり、BMIでは健康と考えられたP助さんが、実は高血圧(high blood pressure)や循環器疾患(cardiovascular disease)などのリスクが高い危険な肥満体だったのです。

極端な例だと思われたかもしれませんが、もしあなたが、体重ばかりを気にして「〇〇ダイエット」などを続けていたら、あなたもP助さんになってしまうかもしれません。キーポイントは、体重ではなく筋肉と体脂肪の比率(muscle fat ratio)、特に内臓脂肪です。格闘家のように筋肉が多いと、皮下脂肪が多くても内臓脂肪はつきません。一方、ダイエットを繰り返し続ける女性は、ダイエットのたびに筋肉が痩せ、リバウンドのたびに皮下脂肪とともに内臓脂肪が増えます。さらに運動嫌いだと、40歳を過ぎる頃から毎年筋肉が減り続けて70歳には筋肉の半分が喪失、BMIが正常でも骨粗鬆症で脂肪だらけの身体が出来上がり、糖尿病(diabetes)、認知症(dementia)、骨折(bone fracture)、そして介護なしでは生きられない人生が待っています。

脂肪はつく場所によって機能が異なります。指でつまめる皮下脂肪は、私たち人間が進化の過程で手に入れた大切な臓器、燃料の備蓄や食欲制御(appetite control)などの重要な役割を果たしています。一方、腹腔内(abdominal cavity)にたまった内臓脂肪は、 活動的な脂肪(active fat)という異名を持つ内分泌器官(endocrine organ)です。内臓脂肪は、炎症作用(inflammatory)や血管収縮作用(vasoconstrictive)のある物質を分泌して心疾患や高血圧、糖尿病などの慢性病の原因を作ります 。内臓脂肪は、慢性ストレス(chronic stress)や悪い生活習慣から増え、有酸素運動(aerobic exercise)で減ることが知られています。ではどうしたら家庭でその増減を調べられるのでしょう?

家庭で手軽に内臓脂肪が測れる道具とは、ズバリ巻尺(tape measure)です。胴回りと身長の比率(Waist to Height ratio)がBMIより効果的に健康状態をあぶり出すのです。あなたも図を参考にして測ってみてください。巻尺の下側が脇の下直下の骨盤の上にあたるように(the bottom of the tape measure should be level with the top of the hip bone, or ilium, where it intersects a vertical line dropped from the middle of the armpit)、おへそ周りを測り(measure your waistline at the level of the navel)、身長で割ります(divided by your height)。

Waist to Height ratio (WHtR) = Waist (cm)/Height(cm)

Waist to Height ratio

WHtRが男性の場合0.52以下、女性は0.48以下だと健康体、それ以上だと心疾患で死ぬ確率(cardiovascular mortality)が高くなるという報告があります。ちなみにマリリンモンローの値は0.34、とても細かったのですね。

キーポイントは、定期的に正しく測ることです。例えば毎週日曜の朝食前に計測することで見えない内臓脂肪の変動を「見える化=visualize」していくと、自然と生活改善の意識が芽生えますよ。

参考資料
1. Schneider, H.J. et al., 2010. The predictive value of different measures of obesity for incident cardiovascular events and mortality. The Journal of clinical endocrinology and metabolism, 95(4), pp.1777–85.
2. “Taking aim at belly fat”; https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/taking-aim-at-belly-fat

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有馬 佳代

有馬 佳代

遺伝学・栄養学博士、管理栄養士。徳島大学医学部栄養学科卒、米国アリゾナ大学大学院博士課程終了。 カリフォルニア大学アーバイン校とサンディエゴ校での研究活動を経て、Kayo Dietを設立、栄養指導、料理指導およびレクチャーなどを日米で展開しています。
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