砂糖を飲むとアタマが悪くなる? Does drinking sugar make you stupid?

更新日 : 2019年3月12日

甘いものは脳を活性化するという都市伝説(urban myth)、実は間違いなのです。なんとなく飲んでいる飲み物があなたの能力を下げているかもしれません。キーワードはインスリン抵抗性(insulin resistance)です。

インスリンの役割(Roles of insulin
インスリンは、食事などで血糖値が上昇する(rising blood glucose)と膵臓から分泌されるホルモン(hormone secreted from pancreas)、次のような重要な役割があります。

  1. 筋肉や脂肪、肝細胞が血中からブドウ糖を取り込み、血糖値を下げる

Helping muscle, fat, and liver cells absorb glucose from the bloodstream, lowering blood glucose levels.

  1. 筋肉や肝臓が余ったブドウ糖をグリコーゲン*に変換し貯蔵するように刺激する

Stimulating the liver and muscle tissues to store excess glucose.

  1. 肝臓での糖新生を抑制して血糖値を下げる

Lowering blood glucose levels by reducing glucose production in the liver.

  1. 脂肪細胞のブドウ糖の取り込みを加速し、脂肪分解を阻止する

Enhancing adipose cells to absorb glucose and inhibit breaking down fat.

  1. 脳内のドーパミン分泌を増やす

Enhancing dopamine release in the brain

  1. 脳細胞の血糖吸収を助け、脳機能や血管新生を管理制御する

Helping brain cells absorb glucose, regulate brain function and vascularization.

けれども血糖値が下がらない生活をしていると、血中のインスリン濃度が高めに保たれるため、脳を含む多くの臓器がインスリンに反応しなくなります!この現象を“インスリン抵抗性の発症(developing insulin resistance)” と言い、多くの慢性病の原因となっています。

砂糖を飲むと脳が燃料不足になる(Liquid sugar impairs fuel metabolism in the brain
仕事中に炭酸飲料や缶コーヒーが欠かせない人、朝一番にオレンジジュースを飲む人、おやつ代わりに甘い飲み物を飲む人は要注意です。こういう生活習慣を続けると、脳細胞がインスリン抵抗性を発症します。そうなると脳が血糖を取り込めない上、機能管理ができないため、脳がうまく働かないだけではなく、細胞や毛細血管(capillary vessel)の修復や新生ができないため、徐々に脳細胞が失われて脳が縮む(neuronal atrophy) と考えられています。このことから、アルツハイマー型の認知症は「3型糖尿病」 (Alzheimer’s disease is type3 diabetes)と呼ばれ 、子供のうつ病(depression)や多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder; ADHD)、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)の発症と、妊婦の高インスリン血症(hyperinsulinemia)や妊娠性糖尿病(gestational diabetes)の関係が指摘されるのです。

砂糖依存症(Sugar addiction
スイーツがないと生きていけない(can’t live without sugar)と思っている人、脳がインスリン抵抗性を発症しているかもしれません。血糖値が正常でも、インスリンに反応しない脳は血糖値が低下していると勘違いして、頭痛(headache)やイライラ感(anxiety)などの不快な症状を出して 食べるように仕向けます。これが砂糖依存症の始まりです。この現象は子供にも起こります。

キレる子供(Child with difficult temperament
脳は寝ている時も勉強している時もほぼ同じ量のブドウ糖を消費するので勉強中のスイーツに学習能力(learning capacity)を高める効果はありません。それどころか血糖値の乱高下で感情の起伏が激しくなりキレやすくなります。さらに脳がインスリン抵抗性を生じると、脳内ドーパミン分泌が減ることからキレるという行動障害(behavioral disorder)が出ると考えられています 。

Negative reward
座って仕事をする人(sedentary workers)にとって、飲む砂糖は負の報酬(negative reward )です 。食べるフルーツは栄養豊富な正の報酬(nutritious positive reward)ですが、食物繊維を含まないジュースは別物です。とは言っても仕事中にホッとするひと時が欲しいですよね。そんな時は、①レモンスライス入りの炭酸水(sparkling water with a slice of lemon)、②キシリトールやステビアなどの天然甘味料入りの飲み物(drinks sweetened with natural sweetener, such as xylitol and stevia)、③香り高い緑茶やハーブティー(flavorful green tea and herbal teas)、④ちょっと立ち上がってのストレッチ(occasional standing stretch)、などはいかがでしょうか?

いつものようにご意見ご感想をお待ちしています。

*グリコーゲン:主に肝臓や筋肉に貯蔵エネルギーとして貯められる高分子のブドウ糖のこと(Glycogen: Polysaccharide of glucose that serves as a form of energy storage primarily in the liver and muscle.)

 

参考文献

1. Stouffer MA, et al. Insulin enhances striatal dopamine release by activating cholinergic interneurons and thereby signals reward (2015) Nature Communications (6) 8548

2. Stern M. Insulin signaling and autism. Frontiers in endocrinology vol. 2 54. 14 Oct. 2011

3. Ratey JJ. and Hagerman M. Spark: the Revolutionary New Science of Exercise and the Brain. Little, Brown, 2013.

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有馬 佳代

有馬 佳代

遺伝学・栄養学博士、管理栄養士。徳島大学医学部栄養学科卒、米国アリゾナ大学大学院博士課程終了。 カリフォルニア大学アーバイン校とサンディエゴ校での研究活動を経て、Kayo Dietを設立、栄養指導、料理指導およびレクチャーなどを日米で展開しています。
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