コラム

ビジネスに役立つ経済金融英語 第11回  PandemicからEndemicへ

2022年5月30日
鈴木 立哉鈴木 立哉
ビジネスに役立つ経済金融英語 第11回  PandemicからEndemicへ

以下は、4月27日付のニューヨークタイムズ紙のOpinion欄から(本稿での翻訳、下線、太字はすべて鈴木)。

 

Dr. Anthony Fauci, President Biden’s chief medical adviser, told “PBS News Hour” that “certainly” America is now “out of the pandemic phase” of Covid-19 as our rates of new infections, hospitalizations and deaths continue to ebb. But, he added, “We’re not going to eradicate this virus.” Our best hope is to “keep that level very low, and intermittently vaccinate people,” possibly as often as every year.

 

Put another way, the endemic has arrived.(”The Pandemic Exposed Our Empathy Deficit”, by Charles M.Blow, The New York Times, April 27, 2022)(1)

(バイデン大統領の主席医療顧問であるアンソニー・ファウチ博士は、「PBSニュースアワー」(余談1)のインタビューで、新規感染率、入院率、死亡率が減り続けていることから、アメリカは、「新型コロナウイルス感染症のパンデミック期から脱したのは間違いありません」と語ったうえで、「このウイルスを根絶することはできません」と付け加えた。我々の一番の望みは「この水準を非常に低く保ち、断続的に、場合によっては年に1度のワクチン接種を行うことです」と述べた。

 

その通り、エンデミックが到来したのだ。

(パンデミックによって露呈した我々の共感力の欠如」2022年4月27日付『ニューヨークタイムズ』*記事は有料です)

 

次は、4月28日付日本経済新聞の記事。

 

韓国政府が「脱コロナ」へカジを切った。新型コロナウイルスをパンデミック(世界的な大流行)ではなく、エンデミック(一定期間で繰り返される流行)とみなす。感染者はなお世界で最も多い水準だが、韓国社会はポストコロナに向かって突き進んでいる。

 

(中略)

 

防疫当局は4月18日、飲食店の営業時間や、一度に会合できる人数の制限を全面的に解除した。映画館では今週から、映画を鑑賞しながらポップコーンを食べられるようになり、スーパーの試食コーナーも復活した。

 

(中略)

 

政府は欧米と比べた致死率の低さを方針転換の根拠にした。ワクチンの追加接種(ブースター接種)が早く進んだことも背中を押した。2月半ばの時点で3回目を打った高齢者は9割近かった。

(「韓国が突き進む「コロナ後」の風景 エンデミックへ旋回」2022年4月29日付日本経済新聞) (2

 

 

これらの記事だけを読むと、パンデミック(世界的大流行)という「重い病気」がエンデミックという「軽い病気」になったという印象が残る。

 

そうなのか。

 

「エンデミック時代の到来(?)」を期に、この二つの言葉の基本的な意味をおさらいしておこう。

 

なお念のため、「新型コロナウイルス感染症」がCovid-19(「CO」は「corona」、「vi」は「virus」、「D」は「disease」の意味)というのはもはや説明の必要はないかもしれない。いちいち「新型コロナウイルス感染症」と書くと長いので、本稿でも便宜的に呼称することにする。

 

下は世界保健機関(The World Health Organization)がCovid-19を「パンデミック」と宣言した当日、2020年3月11日(水)のワシントン・ポスト紙の記事から。まだ我々がこの病気の正体もわからず、ワクチンができるには何年かかるかもわからない中で、株価が連日大暴落を続けていた2年前の頃の話だが、実はそこにヒントがある。

 

What is a pandemic, and who gets to define it? (パンデミックとは何か、これを定義するのは誰か?)

 

“I think one of the things people misunderstand when it comes to pandemics is it’s not about how severe it is or how many cases there are or even how worried we need to be. It’s about literal geography,” said Caitlin Rivers, epidemiologist at the Johns Hopkins Center for Health Security. The U.S. Centers for Disease Control and Prevention defines it this way: “Pandemic refers to an epidemic that has spread over several countries or continents, usually affecting a large number of people.”( ”WHO declares a pandemic of coronavirus disease covid-19”, )(「パンデミックについての誤解の一つは、これがどの程度深刻か、あるいはどの程度の症例があるか、あるいは我々がどの程度心配する必要があるか、ということではありません。文字通り(ある疾病の)地理的な広がりを意味しているにすぎないのです」と、ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターの疫学者Caitlin Riversは述べる。

 

The WHO — the global body with authority to officially declare a pandemic — defines pandemic loosely as “the worldwide spread of a new disease.” The U.S. Centers for Disease Control and Prevention defines it this way: “Pandemic refers to an epidemic that has spread over several countries or continents, usually affecting a large number of people.”(“WHO declares a pandemic of coronavirus disease covid-19”, by William Wan, The Washington Post, March 11, 2020)(3)(「パンデミック」を正式に宣言できる国際機関WHOはパンデミックを「新しい疾病が世界中に広がること」と曖昧に定義している。それに対しアメリカ疾病予防管理センターの定義はこれだ。「パンデミックは複数の国または大陸中に広がった伝染病のことで、通常は多数の人々に影響を及ぼす」)(「WHOがコロナウイルス感染症Covid-19をパンデミックと宣言」2020年3月11日付『ワシントン・ポスト』)

 

要するにパンデミック(世界的大流行)とは、疾病の地理的な広がりに過ぎず、疾病の重さとは無関係ということ。ただ、当時はこの感染症がパンデミックになるとは言っても、それは病気が深刻だということを意味しない、という点に重きが置かれていた点は留意されたい。

 

ところがここに来て米国(およびそれ以外の国々)では、パンデミックに伴う各種行動制約を解除するという政策根拠としてエンデミックという言葉が使われていることから、一般の人々の間で混乱が生じている模様である。その意味で、Wall Street JournalのWord On The Street(ウォール街で拾った言葉:本連載第8回でも紹介した)に注目したい。疫学的な現象と政策を結び付けて疾病の深刻度を判断しないでほしい、という記事だ。

 

タイトルは‘Endemic’: A Constant and Ordinary Local Scourge:For the next likely phase of Covid, a term with Greek roots has probably given more comfort than it should(エンデミック:常に存在する通常の風土病:新型コロナウイルス感染症の次の段階となりそうな、ギリシャ語を語源とする、必要以上に安心感を与える用語)。今年2月の記事である。

 

カリフォルニア州知事が“endemic plan.”(エンデミック計画)の概要を発表し、 ニュージャージー州の知事が、全米知事会の後に、“The general consensus was that we are on the road from pandemic to endemic.”(「今や我々はパンデミックからエンデミックに向かっているというのがコンセンサスだ」といった発言を取り上げて、次のように指摘する。

 

(1)「エンデミック」という言葉に舞い上がる世の中

But what exactly does it mean for Covid-19 to become “endemic”? The term has generated a fair bit of confusion. Nearly two years after the World Health Organization officially elevated the coronavirus epidemic to “pandemic” status, the public now has to grapple with a new kind of “-demic.” (‘Endemic’: A Constant and Ordinary Local Scourge,” by Ben Zimmer, the Wall Street Journal, Feb 11, 2022(4)(だが、Covid-19が「エンデミック」になるとは正確には何を意味するのだろう?この用語はかなりの混乱を引き起こしている。2年近く前にWHO(世界保健機構)がコロナウイルスのエピデミック(流行)を「パンデミック」に格上げしてから2年近くたち、人々は今や新たな種類の「語尾が『・・・デミック』」という用語に取り組まなければならないとは)

 

問題意識は今の我々と同じだ。つまりアメリカ人もパンデミックを重い病気、エンデミックを軽い病気と思いがちなのだと。さらに読み進めよう。

 

(2)疫学的には統一見解がない

When a disease achieves “endemicity,” like the common cold or influenza, it becomes a constant presence in a population, with fewer disruptions to everyday life, and follows a more seasonal pattern. What an “endemic” phase for Covid-19 will look like is still an open question for epidemiologists, even if governors are already making plans for its arrival. (4(ある病気が、風邪やインフルエンザのようなエンデミック状態に達すると、(一定地域の)全住民の中で常に存在し、日常生活への支障は少なくなり、その後季節的なパターンを取るようになる。Covid-19が「エンデミック」段階に入った場合にどのような形態を取るかは、たとえ州知事たちがその到来に備えて計画を立てているとはいえ、疫学専門家の間でもまだ解決していない問題だ。

 

Covid-19が「エンデミック」段階に入ると一定の季節に繰り返し発生するので予測可能性は高まる(つまり対策は立てやすくなる)だろうが、そのことはこれが軽い病気になったとは言い切れない、と釘を刺した上で、このコラムのそもそものテーマ(”Word on the Street”)である「Words寄り」の話題に移る。

 

(3)Endemicの語源

 

Like “epidemic” and “pandemic,” the word “endemic” goes back to the Greek root “demos” meaning “people” or “population.” The “en-” prefix, meaning “in,” suggests something that is native or peculiar to a particular group of people. (4(「エピデミック」、「パンデミック」と同様、「エンデミック」の語源はギリシャ語で、エン(en)は中(in)、デミック(demic)はデモス(demos)すなわち人々(people)や人口(population)のこと。したがってendemicとは特定の人々に特有な(病気)ということになる)。

 

 

そして「疫学用語だったEndemicが一般的な用語へと意味を広げていった」と話の範囲が広がる。ちなみに、パンデミック(pandemic)のpanはallという意味。

 

(4)疫学用語から一般用語へ

 

As “endemic” took on the general meaning of “common to a particular group or area,” it often came with a negative cast. For instance, a New York Daily News opinion writer recently argued that “corruption has been endemic to Albany for a very long time,” while a Baltimore Sun report on deadly fires breaking out in vacant buildings observes that “the problem has become endemic to the city.” But the word can also be used more neutrally: In online marketing, “endemic advertising” refers to ad placements that are “native” or natural to a particular market. (4(「エンデミック」は「特定の集団または地域に共通の」という一般用語として使われるようになったが、否定的な意味合いを帯びることが多かった。たとえば、『ニューヨーク・デイリーニューズ』紙のある論説委員は最近、「(ニューヨーク州)アルバニーでは、非常に長期化にわたって汚職がはびこっている」。さらに、『ボルティモア・サン』紙は、空きビルで起きている大火事についての記事の中で、「問題はこの街に蔓延している」と指摘する。だがこの語はもっと中立的な意味でも使える。オンライン・マーケティングには「エンデミック広告」という用語がある。これは特定の市場に「直接(native)」または「自然に(natural)」結び付くような場所に広告を配置することだ(余談2)。

 

 

ワクチンの摂取率の向上とともに罹患率、致死率、入院患者数が減ってきたことを受けて「パンデミックがエンデミックになった!」と来ると多くの人々が誤解するかもしれないが、実は病気の広がりと深刻度は別。「エンデミックになったことでCovid-19が自然消滅すると考えるのは誤解だ」と指摘した上で、いかにもこのコラムらしい結びで記事は終わる。

 

(5)誤解が蔓延

Unfortunately, this kind of misunderstanding may be endemic to our current cultural moment. . (4(残念ながら、この種の誤解が、現在の我々の文化に蔓延している(endemic)のかもしれない)。

以上見たように、Covid-19がエピデミック→パンデミック→エンデミックになった動きを振り返ったわけだが、最後にデジタル大辞泉から、「エピデミック」と「エンデミック」の定義を紹介して本稿を終わりにしよう。ここまでお読みになった皆さんは、それぞれの定義を混乱なく読めるのではないか。

エピデミック:医療・公衆衛生で、一定の地域や集団において、ある疾病の罹患者が、通常の予測を超えて大量に発生すること。インフルエンザなどの感染症が特定の地域で流行すること。これが世界各地で同時に発生した状態をパンデミックという。

エンデミック:医療・公衆衛生で、ある感染症が、一定の地域に一定の罹患率で、または一定の季節に繰り返し発生すること。エピデミックよりも狭い範囲で比較的緩やかに広がり、予測の範囲を超えないものをいう。特定の地域に限定される場合は風土病という。

(いずれも「デジタル大辞泉」©Shogakukan Inc.)

 

(余談1)PBS(Public Broad Casting)は米国の公共テレビの全国組織。「PBSニュースアワー」はPBSが放送しているニュース番組で放映時間は平日ほぼ1時間、土日約30分だ。実はインターネットを通じて日本でも毎日視聴できる(もちろん英語です)。https://www.pbs.org/newshour/

 

(余談2)

マーケティング用語“endemic advertising”(「エンデミック広告」としておきました)には定訳がまだない模様。わかりやすい例で言えば、リーボックやアディダスといったスポーツ用品メーカーがスポーツイベントの会場に広告を出すといった意味らしいです。

 

ではまた来月!

 

脚注

(1)”The Pandemic Exposed Our Empathy Deficitn”, by Charles M.Blow, The New York Times, April 27, 2022(有料記事です)

https://www.nytimes.com/2022/04/27/opinion/pandemic-empathy-hardship.html?searchResultPosition=1

(2)「韓国が突き進む「コロナ後」の風景 エンデミックへ旋回」(2022年4月29日付日本経済新聞) (有料記事です)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM258IT0V20C22A4000000/

(3)”WHO declares a pandemic of coronavirus disease covid-19”, by William Wan, The Washington Post, March 11, 2020

https://www.washingtonpost.com/health/2020/03/11/who-declares-pandemic-coronavirus-disease-covid-19/

(4)‘Endemic’: A Constant and Ordinary Local Scourge,” by Ben Zimmer, the Wall Street Journal, Feb 11, 2022(有料記事です)

https://www.wsj.com/articles/endemic-a-constant-and-ordinary-local-scourge-11644589668

 

過去の記事一覧

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著者について

鈴木 立哉

鈴木 立哉

金融翻訳者。一橋大学社会学部卒。米コロンビア大学ビジネススクール修了。野村證券勤務などを経て2002年に独立。現在は主にマクロ経済や金融分野のレポート、契約書などの英日翻訳を手がける。訳書に『フリーダム・インク』(英治出版)、『ベンチャーキャピタル全史』(新潮社)、『「顧客愛」というパーパス<NPS3.0>』(プレジデント社) 、『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)など。著書に『金融英語の基礎と応用 すぐに役立つ表現・文例1300』(講談社)。ブログ「金融翻訳者の日記」( https://tbest.hatenablog.com/ )を更新中。

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