コラム

ビジネスに役立つ経済金融英語 第23回: デカップリング(decoupling)からデリスキング(de-risking)へ

2023年8月3日
鈴木 立哉鈴木 立哉
ビジネスに役立つ経済金融英語 第23回: デカップリング(decoupling)からデリスキング(de-risking)へ

 

昨年の今頃は、米中間の経済的対立を意味する「デカップリングdecoupling)」が盛んに報道されていたのだが、ここ数カ月で一気にバズ化(流行語化)したのが「デリスキング(de-risking)」だ。最近よく目や耳にするようになったな、と感じる読者も多いかもしれない。de-riskingは、辞書を引くと「リスク低減」「リスクの可能性を減らす」という意味が出てくるが、この言葉が「新たな」経済用語として見直され、注目されるようになったのは今年の3月30日、フォンデアライエン欧州委員長が行った中国との関係についての演説以降である。今月はこの用語について注目すべきいくつかの記事を取り上げて、デカップリングからデリスキングへの大まかな流れと背景を紹介したい。

 

1.  二つの『デカップリング』

まず、デカップリングについて。私の理解では「デカップリング」(経済的分離)という言葉はこれまで2度流行した。1度目は米国以外の諸国(特に新興国と欧州)経済が独自に経済力をつけて米国への依存度が低下していくという意味での「デカップリング論」だ。2007年ぐらいから盛んに主張されたものの、結局、米国でサブプライム問題が顕在化し、「リーマンショック(the Lehman crisis)」(2008年9月15日)で世界経済が大不況(Great Recession:世界金融危機(global financial crisis)とも言う)に陥ると、経済のグローバル化があまりに進んだので、「(よくよく考えてみれば)デカップリング論などありえないじゃないか」という反省とともに2010年ぐらいまでに急速にしぼんでしまった、ある意味あだ花、幻想である。そして2度目がトランプ政権樹立後に顕在化し、コロナのパンデミックの拡大とともに急激に進んで今年3月までは続いた米中対立・分離を意味する「デカップリング」(米中双方の)政策だ。この経緯については昨年12月に「二つの『デカップリング』」という2回の連載記事を日本会議通訳者協会に書いたので、詳しくはそちらをお読みいただきたい(前編が「『デカップリング』(decoupling theory/thesis)という『幻想』」。後編が「米中分離論としての『デカップリング』」)。

 

2. 今年の流行語大賞は「デリスキング」?

デリスキング関連の記事で最初に紹介するのは、本年5月29日付英フィナンシャル・タイムズ(以下「FT」)紙の記事だ。4日後の6月2日に提携先の日本経済新聞(以下「日経」)に邦訳が掲載されたので、記事の冒頭の原文(FT)と邦訳(日経)を併記して紹介する。

 

(1)FT紙の記事より(翻訳は日経の該当部分)

The contest for word of the year is already over. In the geopolitical category, the winner is “de-risking”.(今年の流行語大賞はもう決定した。地政学的部門の大賞は「デリスキング(リスク低減)」だ)

 

This D-word has moved from obscurity to ubiquity in less than two months. It was the centrepiece of a speech about China made in late March by Ursula von der Leyen, the European Commission president. De-risking was then seized upon by the Biden administration. Then, last week, it was endorsed by a G7 summit.

(これまでごく一部でのみ使われていた「デリスキング」という言葉は、わずか2カ月弱で至るところで聞かれるようになった。フォンデアライエン欧州委員長が3月30日にブリュッセルで中国について講演した際のキーワードだった。その後、米バイデン政権も「デリスキング」という言葉を熱心に使うようになり、5月21日に広島で閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)で採択した首脳宣言でもキーワードとして登場した)

 

One reason why western leaders have embraced de-risking with such alacrity is that it gets them off a rhetorical hook. Previous talk of “decoupling” western economies from China was often castigated as impossible and extreme. De-risking sounds more prudent and targeted. Western businesses are being told that they can still trade with China — it is just that some safeguards are needed.

*snip*

(西側の首脳らがかくも短期間でこの言葉を使うようになった理由の一つは、聞く人に不必要に過激な印象を与えずにすむという背景がある。中国との関係で西側がこれまで用いてきた「デカップリング(分断)」という表現は、どう考えても不可能かつ極端な考え方だとして厳しく非難されるケースが多かった。

 

それに比べデリスキングは、もう少し慎重で、非常に的を絞った印象を与える。西側の企業には、安全を期すために一定のルールさえ守れば従来通り中国と貿易を続けてよいというメッセージとして伝わっている。)

(以下略)

 

原文:”De-risking trade with China is a risky business” by Gideon Rachman, Financial Times. May 29, 2023.(「中国とのデリスキングの取引は危険なビジネス」、2023年5月23日付フィナンシャル・タイムズ) 有料記事です。

https://www.ft.com/content/1caf3dd9-1097-4de2-9b57-80b70e465154

翻訳:「[FT]概念先行の「デリスキング」」ギデオン・ラックマン 2023年6月2日付日本経済新聞 有料記事です。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB304010Q3A530C2000000/

 

ここに描かれているのは、①今年3月30日に行われたフォンデアライエン欧州委員長の演説が契機となり、②アメリカ政府の高官もこの語を頻繁に用いるようになって、ついには③G-7サミットの共同宣言にまで盛り込まれるようになった、という簡単な経緯の説明と、④今後は欧米の政府および企業の関心がデリスキングに向かうとみられる。⑤デリスキングは、ここ数年米中を中心に進んでいたデカップリングからの方針転換といえそうだ、という大まかな見通しだ。

 

では、フォンデアライエン欧州委員長は何と言ったのか?今回の欧米の方針転換のきっかけとなった演説のうち、最初にde-riskingという言葉を発した部分を引用する。なお、駐日欧州連合(EU)代表部プレスチームによる全文の日本語訳も読める。

 

(2)フォンデアライエン欧州委員長の演説(翻訳は駐日欧州連合EU)代表部プレスチーム)文中、下線および(=・・・)は鈴木が挿入した注。

With all this in mind, our response must start by working to strengthen the international system itself. We want to work with our partners on global issues like trade, finance, climate, sustainable development or health. For that, we need to reinforce the institutions and systems in which countries can compete and cooperate and from which they benefit.

(以上の全てを念頭に置くならば、私たちの対応は、国際制度そのものの強化に取り組むことから始めなければなりません。私たちは、貿易、金融、気候、持続可能な開発および健康などの地球規模の問題に関して、パートナーと共に取り組んでいきたいと考えています。そのためには、各国が競争し、協力し、利益を得ることができる機関や制度を強化する必要があります)。

 

This is why it is vitally important that we ensure diplomatic stability and open communication with China. I believe it is neither viable – nor in Europe’s interest – to decouple from China. Our relations are not black or white – and our response cannot be either. This is why we need to focus on de-risk – not de-couple. *snip* Managing this relationship and having an open and frank exchange with our Chinese counterparts is a key part of what I would call the de-risking through diplomacy of our relations with China.

だからこそ、中国との外交的安定と開かれた意思疎通を確保することが極めて重要なのです。私は、中国を切り離す(=中国からのデカップリング)ことは不可能であり、また欧州の利益にもならないと考えています。欧州と中国の関係は白か黒かではなく、私たちの対応もその一方ではありえません。だからこそ、切り離すのではなく、リスクを回避することに焦点を当てる必要があるのです。・・・(中略)・・・この関係を管理し、中国側と開かれた率直な意見交換を行うことは、外交による対中関係のリスク回避(=デリスキング)と私が呼んでいることの重要な部分です)。

 

(Speech by President von der Leyen on EU-China relations to the Mercator Institute for China Studies and the European Policy Centre)(メルカトル中国研究所(MERICS)・欧州政策センター共催イベントにおける、EUと中国の関係に関するフォンデアライエン欧州委員会委員長の演説)

原文:https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/speech_23_2063

翻訳(駐日欧州連合(EU)代表部プレスチーム):

https://www.eeas.europa.eu/delegations/japan/メルカトル中国研究所(merics)・欧州政策センター共催イベントにおける、euと中国の関係に関するフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の演説_ja?s=169

 

明らかな方針転換だ。G7広島コミュニケの関連部分も紹介しておこう。

 

(3)外務省:G7広島サミット(令和5519日~21日)、成果文書の一部 (英語が正文、日本語が外務省による仮訳。下線は鈴木)

<Preamble>

We are taking concrete steps to:

・coordinate our approach to economic resilience and economic security that is based on diversifying and deepening partnerships and de-risking, not de-coupling;

<前文>

我々は、次に掲げる具体的な措置を講じている。

デカップリングではなく、多様化、パートナーシップの深化及びデリスキングに基づく経済的強靱性及び経済安全保障への我々のアプローチにおいて協調する。

 

<Regional Affairs>

51. We stand together as G7 partners on the following elements, which underpin our respective relations with China:

<地域情勢>

51. 我々は、 G7のパートナーとして、それぞれの中国との関係を支える以下の要素について結束する。

 

・Our policy approaches are not designed to harm China nor do we seek to thwart China’s economic progress and development. A growing China that plays by international rules would be of global interest. We are not decoupling or turning inwards. At the same time, we recognize that economic resilience requires de-risking and diversifying. We will take steps, individually and collectively, to invest in our own economic vibrancy. We will reduce excessive dependencies in our critical supply chains.

・我々の政策方針は、中国を害することを目的としておらず、中国の経済的進歩及び発展を妨げようともしていない。成長する中国が、国際的なルールに従って振る舞うことは、世界の関心事項である。我々は、デカップリングは内向き志向にはならない。同時に、我々は、経済的強靱性にはデリスキング及び多様化が必要であることを認識する。我々は、自国の経済の活力に投資するため、個別に又は共同で措置をとる。我々は、 重要なサプライチェーンにおける過度な依存を低減する。

 

(外務省:G7広島サミット(令和5年5月19日~21日)、成果文書のうち、de-riskingが入っている節のみを転載)

コミュニケ英文:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100506875.pdf

コミュニケ和文:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100506875.pdf

 

3.インドの新聞による「デリスキング」入門

3月末に始まって数カ月で(少なくとも欧米先進国では)ここまで盛り上がったデリスキングについて、一連の経緯を歴史的背景まで含めて端的に説明してくれるのが、「THE HINDU」紙(インド、チェンナイに本部を置き150年の歴史を誇るインドの英字日刊紙)のオンライン版の記事、Explained | Why is the U.S. shifting its approach to China from decoupling to de-risking?(解説:なぜアメリカは中国とのデカップリングからデリスキングへとアプローチを転換しているのか?)だ。本連載の「第20回:グローバルサウス(Global South)」で紹介したように、インドは、いかなる国とも正式な同盟を結ばずに(「警戒すべき中国とインドの関係改善(The Economist)」)、「グローバルサウス」の盟主を標榜している。その国の主要紙による包括的な解説記事だ。少々長いが、「デリスキング」に関する基本知識を得られる貴重な情報源として重要な箇所を紹介したい。以下(4)~(6)まではすべてこの解説記事からの引用である。

2022年7月25日付日本経済新聞。有料記事です。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB230I60T20C23A7000000/

 

(4)THE HINDU紙より①:デリスキングの歴史的背景((4)以降の英文記事の翻訳、下線、日本語の小見出し、注はすべて鈴木)

The story so far: The Trump-era focus of the U.S. to decouple from China is being phased out by a new concept. The U.S. has expressed that it is shifting its policy on China from decoupling to de-risking. The EU has already declared that its approach to China will be based on de-risking. The recently concluded G-7 summit at Hiroshima, through its Leader’s Communique, has also expressed the grouping’s consensus on de-risking.

(これまでの経緯: トランプ政権時代に米国が注力してきた中国との経済的分離という方針は、新たな観念により段階的に脱却されつつある。米国は中国に対する方針を、デカップリングからデリスキングへと転換していると明言した。既に欧州連合(EU)は、中国に対するアプローチをデリスキングに基づくものとすると表明している(注(2)フォンデアライエン欧州委員長の演説を参照)。また最近広島で開催されたG-7サミットでも、首脳声明を通じてリスク軽減についての一致した見解を示した。)

 

(5)THE HINDU紙より②:デリスキングとは何か?:歴史的背景:相互依存(米中国交樹立)から経済的分離(デカップリング)まで

相互依存を続けてきた40

After the establishment of diplomatic ties between the U.S. and China in 1979, both the countries embarked on a path of increasing economic interdependence. China gained immensely from this relationship, as it helped the country drastically widen and deepen its diplomatic and economic engagement with the rest of the world. As China’s economic and military power grew, its ambition to challenge the primacy of the U.S. in the international system became increasingly apparent. China’s rise not only came at the expense of America’s global clout, but also the latter’s domestic industry, which got “hollowed out” in its four-decade old economic embrace with China.

(米国と中国が1979年に外交関係を樹立して以降、両国は経済的な相互依存の道を歩んできた。この関係から中国は大いに利益を得て、中国は世界の他の地域との外交および経済的関与を劇的に拡大・深化させることができた。中国の経済力と軍事力が増すにつれて、国際システムにおける米国の優位性に挑戦する野心が次第に明らかとなった。中国の台頭は、米国の全球的な影響力を縮小させるだけでなく、40年にわたる中国との経済的交流によって「空洞化」した米国の国内産業にも影響を与えた。)

 

トランプ政権後に顕在化したデカップリング

By the time Donald Trump took over the reins of power in the U.S., dealing with the techno-economic challenge from China became a matter of urgency. The Trump administration made it a point to attack the gargantuan bilateral trade imbalance in favour of China. It also wished to keep the U.S’s high technology sector out of China’s reach. In a series of moves, Trump raised tariffs on Chinese imports which invited retaliatory tariffs from China. The U.S.-China ‘trade war’ started, and bilateral relations were set on course for a “decoupling” from the American standpoint. This approach was marked by a rare sense of bipartisanship in an otherwise polarised domestic political climate in the U.S.

(ドナルド・トランプが米国の政権を握った時点で、中国からの技術経済的な挑戦に対処することは急務となっていた。トランプ政権は、中国に有利な巨大な二国間貿易不均衡を攻撃することを重視した。また、米国の高度な技術部門を中国の手の届かないところに保つことを望んだ。一連の措置の中で、トランプは中国からの輸入に対する関税を引き上げ、これに対し中国も報復的な関税を課した。こうして米中「貿易戦争」が始まり、米国の視点から見れば、二国間の関係は「デカップリング」へと向かう運命にあった。このアプローチは、米国の極端に二極化した国内政治状況にあって、稀有な二大政党間の協調を見せた。)

 

デカップリングからデリスキングへ

Therefore, the Biden administration which took over from the Trump administration continued with the latter’s China policy. However, over time, the Biden administration added its own features into the China policy inherited from Trump. Most recently the label of “decoupling” has been changed to “de-risking”. According to the U.S. National Security Advisor Jack Sullivan, “de-risking fundamentally means having resilient, effective supply chains and ensuring we cannot be subjected to the coercion of any other country”. While decoupling stands for an eventual reversal of the four-decade old project to enmesh the two economies, de-risking aims to limit such an effect only in areas where it undercuts the national security and industrial competence of the U.S.

(それゆえ、バイデン政権は、トランプ政権から引き継いだ中国政策を継続した。しかし、時間が経過するにつれて、バイデン政権は自らの特徴をトランプから引き継いだ中国政策に加えるようになった。最近では、「デカップリング」のレッテルが「デリスキング」に変更された。米国の国家安全保障顧問であるジャック・サリバンによれば、「デリスキングとは、基本的には、頑健で効果的なサプライチェーンを持ち、私たちが他の国の強制にさらされることがないようにすること」であるという。デカップリングは、二つの経済を絡め合わせる40年間のプロジェクトを最終的に逆転させることを目指すが、デリスキングは、その影響を米国の国家安全保障と産業能力を損なう分野だけに限定することを目指しているのである。)

 

(6)THE HINDU紙より③:なぜ今「デリスキング」なのか?

In order to understand the rationale behind the U.S.’s shift from decoupling to de-risking, it is important to comprehend the timing of the move. The policy change has been announced in the wake of several events of high geopolitical significance. The world has just emerged out of the tentacles of the pandemic after three disruptive years and the global economy is hoping for a resulting rebound. The U.S.-China rivalry had peaked in the past few months — from the ratcheting of tensions across the Taiwan Strait to the acrimonious spy balloon episode between the two countries. China also witnessed Xi Jinping beginning his second decade of rule over China in an unprecedented third term as the General Secretary of the Communist Party of China, Chairman of the Central Military Commission and President of the People’s Republic of China, ever since the dawn of the reform era.

(米国がデカップリングからデリスキングへとシフトした理由を理解するためには、そのタイミングを理解することが重要である。この政策変更は、いくつかの高度に地政学的に重要な出来事を経て発表された。世界は、3年間の混乱を経てパンデミックの束縛からようやく解放され、世界経済には回復の兆しが見え始めた。米中対立は台湾海峡をめぐる緊張の高まりから、両国間のスパイ風船事件までさまざまな出来事があって、ここ数カ月で頂点に達した。また中国では、改革開放以降、中国共産党中央委員会総書記、中央軍事委員会主席、中華人民共和国主席として前例のない3期目(注:これまで5年ごとの任期を2期務めた)を迎えることで、習近平が中国を統治する2回目の10年が始まった)。

 

In parallel, a year has passed since Russia began its special military operation in Ukraine, with the conflict going on without any end in sight. Mr. Xi, after starting his third consecutive leadership term, made his first foreign visit to Russia where he proposed a peace plan. He has also, in his third leadership tenure, extended his “peacemaking diplomacy” to West Asia, striking gold in normalising the frayed Saudi-Iran ties. All of these developments have necessitated the U.S. to recalibrate its posture towards China. In such a situation, casting the U.S.-China relations as a new Cold War and a zero-sum game appears to be risky for the U.S. Bringing more nuance into its earlier decoupling approach could bring down China’s guard and give the U.S. more room to re-consolidate its strength.

(同時に、ロシアがウクライナで特別軍事作戦を開始してから1年が経ち、その紛争は終わりが見えないまま続いている。3期目の指導部に就任した習氏は、初の外国訪問先としてロシアを選び、平和計画を提唱した。また、彼は3期目の指導体制で「平和外交」を西アジアに広げ、サウジとイランのぎくしゃくした関係を正常化することに成功を収めた。これらの動きはすべて、米国が中国に対する態度を再調整する必要性を引き出している。このような状況では、新たな冷戦やゼロサムゲームとしての米中関係を描くことは、米国にとってリスキーであると思われる。以前のデカップリングのアプローチに更なる微妙な要素を加えることで、中国の警戒心を下げ、米国が自身の力を再結集するための余地を作り出すことができるだろう)。

 

Perhaps, the Russia-Ukraine conflict could have played a pivotal role in enabling the U.S’s policy shift towards China. The Biden administration, unlike its predecessor, has made it a point to reassure its European allies. At a time when China has been backing Russia in its shadow battle in Ukraine against the West, the idea of decoupling hardly appeals to the European Union (EU). The EU has in fact been looking to woo China in order to convince it to stop supporting Russia from skirting Western sanctions.

(おそらく、ロシア・ウクライナ紛争は、米国が中国に対する政策をシフトさせる上で、決定的な役割を果たしたかもしれない。バイデン政権は、前任者と異なり、欧州の同盟国との意思の再確認を重視してきた。中国がロシアを支持し、ウクライナで西側との陰の戦いを続けているこの時期に、デカップリングの考え方は欧州連合(EU)にはあまり魅力的に映らない。事実、EUはロシアが西側の制裁を逃れるのを支援するのを止めるために中国を取り込もうとしている)。

 

In this context, a watered down version in the form of de-risking could better achieve the objective of getting Europe on board the U.S’s efforts to counter China. It is therefore no surprise that the U.S’s recent articulation of its de-risking approach repeatedly draws references to the European Commission President Ursula von der Leyen’s milestone speech on “EU-China relations” to the Mercator Institute for China Studies and the European Policy Centre on March 30. In her speech, Ms. von der Leyen stressed that the EU’s strategy to China will be based on de-risking. This was a precursor to her visit to China in April, along with the French President Emmanuel Macron, with the Russia-Ukraine war as the main agenda. In fact, China policies of the U.S. and the EU have been witnessing a significant convergence of late — recent developments may have only triggered the Trans-Atlantic consensus on de-risking vis-à-vis China.

 

(この文脈では、デリスキングという薄まったバージョンの方が、ヨーロッパを米国の中国への対抗策に乗せるという目標をより良く達成することができるかもしれない。それゆえ、米国が最近、デリスキングのアプローチを繰り返し述べる際に、ヨーロッパ委員会のウルスラ・フォンデアライエン委員長の「EU-中国関係」についてのマイルストーンとなるスピーチに言及することは何ら驚きであるまい。彼女のこのスピーチは3月30日に、メルカトル中国研究所とヨーロッパ政策センターへ向けて行われたもので、フォンデアライエン委員長はそこでEUの中国に対する戦略はデリスキングに基づくことを強調した。このスピーチは、彼女がフランスのエマニュエル・マクロン大統領とともに4月に中国を訪問し、主要議題としてロシア・ウクライナ戦争を取り上げる前触れとなった。事実、最近の米国とEUの中国政策は大いに接近してきている。最近の動向は、対中国でのデリスキングについて大西洋を挟んだ両側が合意した可能性がある。

 

((4)~(6)の出所:”Explained | Why is the U.S. shifting its approach to China from decoupling to de-risking?” by ANAND V. The Hindu. May 30, 2023 )(「解説:なぜアメリカは中国とのデカップリングからデリスキングへとアプローチを転換しているのか?」アナンドV、2023年5月30日)

https://www.thehindu.com/news/international/explained-why-is-the-us-shifting-its-approach-to-china-from-decoupling-to-de-risking/article66913286.ece

 

以上紹介してきたように、「デリスキング」とは、専ら欧州と米国(そして先進諸国)側の自己都合に基づく対中国の政策変更であり、中国がこの欧米の姿勢に今後どういう対応を示してくるのかはまだ不明である。また今でこそ欧米(そして日本)の方針はおおむね一致しているが、来年には米国の大統領選挙も控えている。そのため、事態の推移いかんによって再びデカップリングに転換する可能性も否定できない。

 

4.中国の反応は?

最後に、現時点での中国側の反応をニューヨーク・タイムズ紙(NYT)と日本経済新聞の記事から紹介しておく。

 

(7)What China ThinksNYTより

To the Chinese government, unsurprisingly, “de-risking” isn’t much of an improvement.

(中国政府にとっては、予想通り「デリスキング」は大きな改善とはなっていない。)

 

“There is a sense that ‘de-risking’ might be ‘decoupling’ in disguise,” the state-run Global Times wrote in a recent editorial. It argued that Washington’s approach had not strayed from “its unhealthy obsession with maintaining its dominant position in the world.”

(「『デリスキング』、実際には『デカップリング』の変装かもしれないという感覚がある」と、中国国営メディア「環球時報」は最近の社説で記述している。それによれば、ワシントンのアプローチは「世界での自己の支配的地位を維持するという不健全な執念」からは外れていないとの主張である。)

 

Some commentators in the region are also de-risk skeptics. “A substantial change in policy?” asked Alex Lo, a columnist for The South China Morning Post. “I doubt it. It just sounds less belligerent; the underlying hostility remains.”

*snip*

(中国周辺地域の一部の評論家たちもまた、デリスキングに対して懐疑的な立場を持っている。「本質的な政策変更か?」と、香港サウスチャイナモーニングポストのコラムニストであるアレックス・ローは問いかけている。「そうは思えない。単に表面的には好戦的でなく聞こえるだけで、根底にある敵意は依然として存在している」と指摘する。

(以下略)

 

(How ‘Decoupling’ From China Became ‘De-risking’ By Damien Cave, New York Times. May 22, 2023「中国からの『デカップリング』がどのように『デリスキング』に変わったか」デイミエン・ケイブ、2023年5月22日 )*有料記事です。

http://www.nytimes.com/2023/05/20/world/decoupling-china-de-risking.html

 

 

(8)米国との「極限状況」に備える中国

米国と中国は、政経分離である種の共存関係が形成できると期待しているようだが、その可能性は極めて低いだろう。当面、米国が覇権国のステータスを放棄し、自由民主主義の守護神の座を降りることはない。中国も、自らの伝統文化と共産党体制の結びつきで普遍性を持つ文明を築いたことに、大きな自信を持つようになったからだ。

 

民主主義国の政治家は、選挙や利益集団などに影響されがちだが、中国共産党指導者の最重要課題は常に政権維持だ。米中衝突の不可逆性に対しても、より的確な認識を持っているのかもしれない。

 

(中略)

 

今後しばらくの間、「デリスキング」と「極限思維」(注:極限的な状況を想定した思考)は米中関係の大枠を形作ることになりそうだ。

 

(「米国との「極限状況」に備える中国 呉軍華氏 日本総合研究所上席理事」2023年7月6日付日本経済新聞)*有料記事です。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD031CK0T00C23A7000000/

 

「デリスキング」政策が欧米の思惑通りに進むかどうかは別として、「流行語」の一つとしてこの言葉から目を離せない期間が続きそうだ。

 

ではまた9月に!(来月はお休みします)。

 

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本連載の第4回でインフレーションを取り上げたのは2021年9月(https://q-leap.co.jp/financail-english04)。この月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.3%。同年1月には1.3%だったから8カ月で大幅上昇したことになるが、当時はコロナ危機によるデフレの反動、つまりベース効果(base effect:対前年比効果)がそのうち剥落してインフレ率は落ち着くだろうという見方が強かった。米連邦準備理事会(FRB)も高インフレは「一時的」(transitory)との立場で、同年のThe Economist(『エコノミスト』)誌が「2021年の言葉」の一つとし...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第17回:ShrinkflationとSkimpflation - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備理事会(FRB)は11月1日と2日に開いた政策決定会合(連邦公開市場委員会(FOMC))で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標3.00~3.25%を0.75ポイント(75ベーシス・ポイント(bp)とも言います。先月号を復習してくださいね)引き上げ、3.75~4.00%とすることを決定した。今回で6会合連続(3月、5月、6月、7月、9月、11月)での利上げ。うち6月以降の4回の利上げはいずれも通常の3倍となる0.75ポイントだった(3月の利上げ幅は0.25ポイント、5月は0.5ポイント)。年初の誘導目...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第16回:「ターミナルレート」と「ピボット」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
 今回は、一般には意外と知られていない(?)「%」と「%ポイント」のお話。トリビアっぽいがビジネス用語としてはかなり重要なのでしっかりと押さえておきたい。 (1)英和辞書の定義研究社ではpercent pointでは見当たらず、percentage pointではいくつか出てくる。(以下の記事の丸括弧で囲んだ翻訳および、それ以外の日本語の説明はすべて鈴木) percéntage pòint①パーセントincrease by two percentage points  2 ポイント上がる。(『リーダーズ+プラス』)②  (1) パーセント・5 percentage points  5%・s...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第15回:「%」と「%ポイント」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
英語をそのままカタカナ語で表現してそれが日本語化する、というのは今に始まった話ではない。だが最近はビジネス上の新しい専門語や抽象語が英語の発音そのままに、いきなりカタカナで表現されて広まる事例が目立ってきたようだ。新しい日本語をつくっても意味がわからないだろうし、既存の日本語を使って一言で訳そうとしても、従来の意味や語感、使い方に引っ張られて新味が出ない。意味をきちんと伝えようとすると、原語一語を日本語一語で表現しにくいために、1ワードまたは1フレーズの英語をひとまず一言のカタカナで表現してそ...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第14回 ウェルビーイング Well-being - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
米国は2022年1-3月期(第1四半期)に続き、第2四半期も実質ベースでマイナス成長となった。金融レポート等では2四半期連続のマイナス成長になるとあっさり「景気後退」と訳すことが多いが、英語ではTechnical Recession、最近は「景気後退」と分けて、あるいは注釈をつける形で「テクニカル・リセッション入り」という訳語も見かけるようになった。今回はこの話題を取り上げる。 まずは第2四半期の成長率が発表された7月28日の『ウォーストリート・ジャーナル』紙の記事から(有料記事です。なお本稿での太字、挿入はすべて鈴木)...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第13回 Technical Recession - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
今月は、日米両国で中央銀行総裁の「一言」が物議を醸し出しました。次は、本年5月4日に行われたパウエルFRB議長の記者会見から(翻訳、太字、下線はすべて鈴木) Now, I would say I think we have a good chance to have a soft or softish landing, or outcome, if you will. And I’ll give you a couple of reasons for that. One is, households and businesses are in very strong financial shape. You’re looking at, you know, excess savings on balance sheets; excess in the sense that they’re substantially large...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第12回 ”Softish” landing - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
以下は、4月27日付のニューヨークタイムズ紙のOpinion欄から(本稿での翻訳、下線、太字はすべて鈴木)。 Dr. Anthony Fauci, President Biden’s chief medical adviser, told “PBS News Hour” that “certainly” America is now “out of the pandemic phase” of Covid-19 as our rates of new infections, hospitalizations and deaths continue to ebb. But, he added, “We’re not going to eradicate this virus.” Our best hope is to “keep that level very low, and intermittently vaccinate people,” possibly as often as...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第11回  PandemicからEndemicへ - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
まず、次の文章をお読みいただきたい(本稿での翻訳、下線、太字はすべて鈴木) By the way, I can’t help mentioning that recent events have also confirmed the truism that many, perhaps most men who pose as tough guys … aren’t. Putin’s response to failure in Ukraine has been extremely Trumpian: insisting that his invasion is all going “according to plan,” refusing to admit having made any mistakes and whining about cancel culture. I’m half expecting him to release battle maps crudely modified ...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第10回: Cancel Culture - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
日本経済新聞「経済教室」の2月8日(火)と9日(水)に「ジョブ型雇用とリスキリング」という共通テーマで論文が2本掲載された。8日が「企業、労働者の自律 後押しを」(阿部正浩・中央大学教授)(「論文1」)(1)、9日が「人的資本投資の増大 促進も」(大湾秀雄・早稲田大学教授)(「論文2」)(2)。両者をあたかも1本の論文のように実に荒っぽく要約した(本稿の太字、下線、英語の日本語訳はすべて鈴木):  デジタルトランスフォーメーション(DX)が進行して、情報通信技術(ICT)・人工知能(AI)分野を中心に企業...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第9回:Reskilling - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
1月28日(金)付日本経済新聞のコラム「大機小機」のタイトルは「人減る日本、活路に二つの難題」。日本の生産性を上げるには、労働市場の硬直化と暗記偏重の学校教育を見直す必要があるという新味のない内容だったが、次のような記述が目を引いた(引用文の翻訳、太字および下線はすべて鈴木)。 ……先日、ニューヨーク・タイムズ(デジタル版1月4日付)に、米国が大離職時代を迎えている、という記事が掲載された。それによると、昨年11月の自発的離職者がこの20年間で最大を記録した、という。しかも自発的離職者の賃金が離職し...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第8回:The Great Resignation - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
皆様、あけましておめでとうございます。 Time誌(2021年12月27日/2022年1月3日号)は「今年の人(Person of the Year)」特集で、テスラ(Tesla)とスペースX(Space X)の創業者イーロン・マスク(Elon Musk)氏を選出したが、本稿のテーマは同誌の同じ号に載った “Language”、つまり「今年の言葉」。紹介された12の用語のうち、経済金融に近そうだと思われる三つを紹介する(英語の後の翻訳はすべて鈴木)。(1) NFTInitialism: Non-fungible token:a digital file that cannot be copied, thus allowing certifies ownership...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第7回:Time誌が選んだ「2021年 今年のことば」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
さる11月13日(土)に予定より1日後れで閉幕した「COP26」についてのミニ知識を。 まず、BBCの以下のビデオ(2分)をご覧下さい(英語。日本語の字幕付きです)。https://www.bbc.com/japanese/video-59129799 会議の正式名称:「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(The 26th Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)」。「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第26回締約国会議(平たく言えば「関係者会議」)(COP26)」というわけ。COPは1995年にドイツのベルリンで...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第6回:今さら聞けない(?)COP26の基礎の基礎 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
Sorry Millennials, your time in the limelight is over. Make way for the new kids on the block - Generation Z – a generational cohort born between 1995 and 2009, andlarger in size than the Millennials (1980-1994). (2018年6月、Barclays Research Highlights: Sustainable & Thematic Investing)(ごめんね、ミレニアル。君たちが脚光を浴びる時代は終わった。新顔に道を譲りたまえ。1995年から2009年に生まれて、君たち(1980~1994年生)よりも規模が大きい、「ジェネレーションZ」にね)(本稿の翻訳と下線はす...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第5回:Generation Z(「ジェネレーションZ」/「Z... - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
「アベノミクス」「黒田バズーカ」という言葉がはやり始めた8年ほど前から、デフレ、リフレ、ディスインフレなど似たような言葉が次々と出てきて混乱する向きもあるのではないか。そこで前回は、その中で多くの人が最も冷や汗をかきそうな「リフレーション」を取り上げた。おさらいしておくと、リフレーションには二つの意味がある。  需要を刺激し経済活動を拡大してデフレーションを克服するための政府および中央銀行による財政/金融政策のこと。 景気後退期の直後、すなわち景気回復の初期の局面で、ほどほどのインフレ率と...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第4回:インフレ、デフレ、ディスインフレ - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
最近は「リフレ」とか「リフレトレード」という言葉を耳にして「そうですねえ・・・」と相手の調子に合わせつつ目が泳いだり冷や汗をかいたりした方も多いのでは? この言葉が分かりにくいのは、①経済状況とその経済状況を実現する政策の両面で使われることが多い、②最近は新型コロナウイルス危機からの復興を目指す政策の意味で使われることも多く、使われ方が曖昧になっている、③そもそもメディアや学者によって明確に定義されていない(らしい)、したがって④「リフレトレード」とは、何を目指しているのか、どういう取引なの...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第3回:リフレーション  - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
Nothing lasts forever — not even a stock market that keeps going up, up and up.This week, just days after its 11-year anniversary, investors unceremoniously said goodbye to the longest-running bull market in history.Then the bears took over.鈴木訳:この世に永遠に続くものなど何もない――上げに上げている株式市場であっても。今週、11年目の記念日を祝ったわずか数日後に、史上最長を記録した上昇相場に投資家たちはあっさりと別れを告げたのだ。そして下げ相場が後を引き継いだ。(”Stocks Enter Bear Market. Wha...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第2回:「調整」「下げ相場」と「ドローダウン」  - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社
第1回は比較的軽い話題から。ダウ・ジョーンズ工業株価平均® (Dow Jones Industrial Average:ダウ平均)とS&P500種株価指数(S&P 500®)の、意外と知られていない特徴をご紹介する。両指数を算出、提供しているのは同一会社である。元々は由来、提供会社ともに異なっていたが、業者の合従連衡が進み、2012年にS&Pインデックス社とダウ・ジョーンズ・インデックス社が統合してS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が設立されたi。ダウ平均の構成銘柄数はわずか30銘柄と、ニューヨーク取引所(2,873銘柄、時価総額約2,8...
ビジネスに役立つ経済金融英語 第1回:米国株式って「ダウ」のこと? 株式指数をめ... - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社

著者について

鈴木 立哉

鈴木 立哉

金融翻訳者。一橋大学社会学部卒。米コロンビア大学ビジネススクール修了。野村證券勤務などを経て2002年に独立。現在は主にマクロ経済や金融分野のレポート、契約書などの英日翻訳を手がける。訳書に『フリーダム・インク』(英治出版)、『ベンチャーキャピタル全史』(新潮社)、『「顧客愛」というパーパス<NPS3.0>』(プレジデント社) 、『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)など。著書に『金融英語の基礎と応用 すぐに役立つ表現・文例1300』(講談社)。ブログ「金融翻訳者の日記」( https://tbest.hatenablog.com/ )を更新中。

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