Mar 23rd, 2018
Home-Schooling(ホームスクーリング)、ある「教育」のカタチ
こんにちは!
またまた久しぶりになってしまいました。
新年が明けてから、仕事で怒涛のような日々を過ごしていました。
日本の皆さんも、年度末に向けいろいろと立て込んでいる時期ではないでしょうか。
ところで、School Psychologistとしてかれこれ10年近く勤務しながら気付いた傾向があります。毎年私の元にrequestされてくるhome-schooling(自宅が主な教育の場)の生徒さんのアセスメント機会が増えています。
そこで、またまた教育関係の英語の紹介にはなりますが、ここでとりあげてみようと思いました。
このトピックを選んだのには、日本でも増えている多種多様な教育形態に、このような形もあるのだという一案にならないかな、それで救われる生徒・児童もたくさんいるのではないかな、と思ったからです。
そもそも、なぜhome-schoolingが増えているでしょうか。英語表現も交え、長所と短所 pros and consを思いつくまま10こずつリストアップしてみました。
長所 pros/benefits
- 子どもが何を学び、いつ学ぶのかをコントロールできる。1対1で向き合うので効率もよい。
Control what your children learn and when you learn it by teaching 1:1 effectively. - とにかく工夫次第で、学びを楽しいものにできる。
Show your children that learning is not boring, but exciting. - 子どもと良い関係を築くことができ、子どもの学び方に寄り添える。
Build meaningful relationship with your children who may have unique needs, talents or learning styles and you can fit your teaching styles to them. - 子どもが難しいと感じている科目やよくできる科目に深く注力できる。
Give your children in-depth, personal attention in any subject with which they struggle or excel. - 一週間の予定を教える側(大人)のニーズに合わせて調整でき、学校の予定に縛られることなく様々なことに取り組める。
Create a weekly schedule that fits your needs and allows you to do things without the constraint of a traditional classroom schedule. - 休暇を好きな時にとることができ、休暇自体を教育的にできる。
Take vacations when school in session! Make the vacation educational. - 教える側(大人)の持つ価値観や信念を投影でき、子どもに質問があるときすぐに答えることができる。
Transfer your values and beliefs to your children and address their questions when they have them. - 家庭外で子どもが出会うだろう悪い影響から子どもを守ることができる。
Protect your children from the negative influences they may encounter outside the home. - 子どもの持つ才能(音楽、美術、数学など)を引き出し、伸ばせる。
Nurture your children’s natural (musical, artistic, mathematic) talents so they thrive and grow. - 子どもの生活における日常的な喜びを分かち合えるし、困難に出会っても成長を手助けできる。
Share with your children the common, everyday joys of life, and help your children mature through the difficult times in their lives.
では、短所 (cons)はどうでしょうか。
短所 cons
- 子どもと24時間、数日間続けてずっと一緒にいる。
Spend 24 hours a day with your children for several days at a time. - 家で学ばせる決断に反対する家族や友人に説明し説得しないとならない。
Justify homeschooling to family and friends who oppose your decision to learn at home. - 何も学んでいないように見える時、子どもに対し忍耐強くないとならない。
Be very patient with your children when it seems they aren’t learning anything at all. - 遅れているかもしれないというもどかしさと付き合わないとならない。
Deal with the frustrations of sometimes being “behind.” - 子どもの教育にさらにお金をかけることになる。
Spend more money on your children’s education than you’re accustomed to. - 効果的に家庭学習を進めるため、知らないことにも挑戦したり工夫したりしないとならない。
Get out of your comfort zone to learn how to homeschool effectively. - 自分の気分が乗らない時も子どもを励まし続ける。
Encourage your children even when you don’t feel like it. - 自分では対応できないことに出会った時、他の保護者のアドバイスを求める面倒さがある。
Seek advice from other homeschooling parents when you encounter problems you’re not equipped to handle. - 自分や子どもにとって良いカリキュラムを探し見つける手間がかかる。
Research a few curriculum programs before you find one that works for you and your family. - 子どもが友人関係を築くために努力を要する。
Put forth more effort to find children with whom your children can build quality relationships.
こうしてみると、たくさんの長所と短所があることがわかります。
どちらにしろ、保護者の覚悟やcommitment, 周りの人のサポートが必要そうです。
実際のところ、私たちschool psychologistがhome-schoolingの保護者からアセスメントのrequestを受ける背景に、伸び悩む我が子の学業成績に学習障害などがあるのでは・・・という心配があります。
この心配もだいたい一人で子どもの「出来」に毎日向き合って比較対象がないことに起因している場合もありそうです。
つまり、home-schoolingという特殊な環境が、心配を増幅させる理由の一つではと思います。
学校に毎日登校していないために総合的なアセスメントができない点も、判断を難しくさせます。
一方で、友人が5年間home-schoolingをして(4年生から8年生)成功しています。そんな例が身近にあり、多くのbenefitがあるのも目の当たりにしています。
この男子生徒さんは、家庭では二つの言語(英語と日本語)を操るために、幼少時に年齢に見合わない教育を受けさせられたところから、家庭学習に入りました。オンラインや週1、2回の通学(カウンセリングともいうそうです)を通して学習進度を調整するという形で4年続け、学習面で飛躍的に伸び、自己学習をする力もつきました。
現在は学習意欲の高い高校生です。社会面においても、放課後ずっとスポーツチームに入って友人関係を築いています。そのスポーツを「部活」として続けているのだから素晴らしいことです。
日本でも、制度さえ整えば、このような形態が広く受け入れられるのではないかな、と思うのです。学校に行くことだけが教育ではないし、個々人に合わせた学びの形って、多種多様でいいと思うんです。
ただ、上記のpros and consを日本の、地域の、個々の家族の状況に照らし合わせて吟味してから決断する必要があるのは確かです。
塾的に先生と週1、2回会ったりonlineでチェックしたり、、、いろいろな可能性がありそうです。
私自身は・・・、 今現在の我が家の状況では二人の息子くんをhome-schoolingするのはとてもムリ!!・・・残念。宿題をみるのでいっぱいいっぱいです。
時間と仕事形態さえ許せば、ぜひともやってみたいのですが、ね!
全米・カリフォルニア州認定スクールサイコロジスト、通訳・翻訳者。
筑波大学大学院教育研究科・臨床教育学修士(MS)、米国サンディエゴ州立大学大学院カウンセリング学科学校心理学プログラム修了(MA & EdS)。日本にて小中学校職員及びカウンセラー、大学カウンセリングチームメンバーとして勤務。カリフォルニア州にて自閉症児への行動セラピスト、特別支援学級職員として勤務。学校心理学関係の研究員、特別講師を兼務しつつ現職。