隙間時間を活用する英語学習でサービスを海外へ、そのパッションまで伝えたい
Unipos株式会社 代表取締役CEO
田中 弦
1999年にソフトバンク株式会社のインターネット部門採用第一期生としてインターネット産業に関わる。ブロードキャスト・コム(現Yahoo!動画)の立ち上げに参加。その後ネットイヤーグループ創業に参画。 2001年経営コンサルティング会社コーポレイトディレクションに入社。 2005年ネットエイジグループ(現UNITED)執行役員。モバイル広告代理店事業の立ち上げにかかわる。 2005年Fringe81株式会社を創業、代表取締役に就任。2021年Unipos株式会社 代表取締役 就任。
ー英語力をつける必要性を感じたきっかけは?
田中:2018年の秋にドバイで「ビジネスプランコンテスト(ピッチコンテスト)」に出たんですよ。その時は全く英語を話せなかったのですが、海外の反応を知りたかったので、出たら、決勝まで行っちゃったんですね。確か500社位出て決勝まで行って、最後の10社に残りました。その時に体験したのが、プレゼンはカンニングペーパーを見ればなんとかできけど、質問が全く分からないってことでした。特にインドの方とか中東の方が多かったので、全くわからなくて、「これはそろそろいかんね」という風に思いました。今後上場して、海外の機関投資家に自分の会社を売り込むというのも一つ仕事になってくると思うのですが、それまではCFOが英語がすごく得意だったので、「任せりゃいいよねって思ってました。でもやはり「トップが自分の会社を自分で売り込むのが仕事だ」と思い直して、「じゃあやってみるか」ということになりました。
ーQ-Leapのレッスンはいつからどのような形・頻度で受講されていますか?
田中:2018年11月にドバイでピッチしてるので…その後からですね。
その時は、全くできないというか、英語に対しては苦手意識しかなかったのです。文学部 日本文学科 平家物語専攻 ですから、センター試験で英語は止まっているわけです、完全に。それで、「できない人の気持ちがわかる人がいいな」と思って、同じように英語ができなかった知人に相談をしたら「いい先生がいます」ということで紹介されました。高学歴で、英語が得意で、更にビジネスマンとして伸ばしたいです、という人に「どういう先生がいいですか?」と聞いても自分に合ったアドバイスにはならないと思ったので。今は週2回、1回90分でやっています。このくらいが程よい感じかな、と思っています。
ー英語学習をされる際に最も気を付けていることを教えてください。
田中:気を付けていること・・・ビジネスと一緒で、やりきらないといけないな、と思っています。
まぁやりきれているかわかんないですけど、とにかく頑張ってやろうっていう風に思っています。英語を克服するラストチャンスだと思ってやっています。
今までの英語学習は自腹でやっていたんです。そうすると、残念ながらいくらでもさぼれてしまう。意志が弱いので。 まあ、苦手なものって人間、後回しにしたくなるじゃないですか。今回は、ちゃんと海外でユニポスを展開するっていう目的と、後は IR で海外の金融機関の人と話すという、仕事で使うことが目的なので、会社のお金でやろうと。とすると会社のお金を投資しているわけなので、絶対サボれないぞ、と自分に学習を課している感じですね。
ーQ-Leapから出されている課題の内容について教えてください。
ディクテーション、シャドーイング、リーディング、TOEFLレベルの単語を1週間に50単語。TOEICの語彙を銀フレから始めて、金フレも終わって、今はTOEFL3800をやっています。今日は、「鼻孔 nostril 」というのを覚えて、「鼻孔」っていうのは一生使わないんじゃないか?って(笑)なので、「鼻孔」レベルまでは来た(笑)
ー高いレベルまで来ています。語彙はとても大事ですね。ウオールストリートジャーナルのpodcastのディクテーションと単語は毎日。シャドーイング、発音、イントネーションも学習のルーティンですね。
ー受講されてからこの1年余りでのご自身の英語力の変化について教えてください。具体的にどのようなことができるようになりましたか?
田中:ちょっとまだ本番を迎えていないというか、リアルで英語を使う場面が来てないというか。海外 IRも実はコロナで全滅しているんですよね。ユニポスはドイツに支社があるので、ドイツには行く予定だったんですけど、それも行けなくなってるんで、今あまり本番で英語を使う機会がないんです。ただ、この間「やばいな」って思ったのは、「yesterday」 っていうビートルズをテーマにした映画を見ていた時に、ビートルズの歌詞がちょっと分かるんですよね。映画やNetflixなどのドラマを見ている時に台詞が分かったり。
ー歌の歌詞やドラマの台詞が英語のまま分かるのは楽しいですよね。
田中:今まではどちらかというと、洋楽って、「お前、何かっこつけてんだよ?」くらいの感じで、メロディとしてはいいんだけど、歌詞を感じるとか、そういうことが全然わからなかったんです。感覚が。これはちょっとできるようになってきたのかもしれないな という…。
ー音がしっかり入っていらっしゃるので、リズムが変わっても、ちゃんと言葉として入ってくるようになったということですね。
田中:もちろん全部わかるわけじゃないんですけど、そうか、この歌ってこういうことだったんだなという風に。
ーディクテーションもずっと継続されているので、前よりはずいぶん聞けるようになられたのではないですか?
田中:先生には「随分できるようになった」っておっしゃっていただけるようになったので 良かったと思う反面、ちょっと英語を話す機会が自分の中で今のところないので、まだわからないですね。
少し前にドイツ拠点のスタッフが日本に来て「寿司に行きたい」と言われて、せっかく日本に来たんだからと高いカウンターの寿司に連れていったんですけど、当然みんな英語を喋れるんです。日本人が僕一人だったんで、「やべぇコハダってなんて説明すればいいんだ」って(笑)。あと、彼らと会社の成り立ちやカルチャーについて共有したいと思っていたので、それを英語で直接伝えられたので良かったなと。
ただ、女性のスタッフからは「奥さんにどうやってプロポーズしたんだ」「何がきっかけなんだ?」って聞かれて、通訳なしで「奥さんにどうやってプロポーズしたか」を話せたのは良かったと思います。突然振られた話題に対して、練習していなくても対応できたのは良かったなと思います。
レッスン始める前はそんな場面が来たら何を話していいかわからなかったですから。何も話せなかったときに比べるといいのかなと思ってます。
ーご自身の英語力についての今後の目標を教えてください。また、その得たスキルを使って今後経営者として、また個人として何をされたいかを教えてください。
田中:英語を学ぶ目的としてはIR や海外のスタッフとのコミュニケーションというのはもちろんあるんですけど、やっぱり僕は英語で営業をしたいですね。
「ユニポスっていうのがあって、こんなにいい製品で、君の会社に使ってもらいたいんだ」という話を海外のフォーチュン500とかの会社の人に伝えて、「よしわかった」って言って受注するのを、日本語だとできるんです。日本語だと本当に大きな会社とかに営業して受注することができるんです。なぜなら、パッションだとか、ユニークネスとか、そういったものが言葉の壁なく伝えられる。
英語だと、こういう商品でそれがいくらです 等は伝えられても、「勢い」というか「もう決断してください!」「ねぇやりましょうよ!」といったような、説得力って言うんでしょうか。非合理的な説得がまだ難しい。合理的には話せるんだけど、非合理的なパッションを伝えきるところまでには至っていないので、それができるようになりたいですね。それじゃないと海外で売れないと思っているので。経営者としてというのもあるんですけど、やっぱり僕はこの(ユニポスの)サービスが本当に好きで、経営者だけど同時にセールスマンだと思っているので、海外でセールスをできたらいいなと思っています。英語を武器に海外に一人でものを売りに行く。
「フランス人、(ユニポス)すごい好きらしいよ」「今日はカナダ人に売れちゃったんだよ」とか、そういうのをやりたいんです。
ー日々の学習時間はどのように捻出されていますか?
田中:気づいたらやるんですけど、なんせもう年齢も年齢なので、だいぶ脳細胞が死んでまして(笑)、全然覚えられないですよね。なんで、とりあえずノートにずっと書いて、ミーティングとミーティングの合間とか、あと、他の人が発言している時とかあるじゃないですか、そういうときに、さぼっているわけじゃなくて、聞いているんです。見ているんです。ああ 「鼻孔かあ 」とか(笑)。あとは車の運転が結構好きなので、最近だと車を運転しているときは、ひたすら英単語本の音声を聞いています。
ー素晴らしいですね。隙間時間の活用ですね。
田中:そうですね 土曜日の午前中は必ずやっていますけど、それ以外は隙間ですね。完全に。
一日どのくらいやっているんだろう?半分人の話聞きながら「鼻孔」のことを考えたりしているだけなんで。のべ時間はわからないですけど、一日1時間から2時間はやっているのかなとは思います。
ー仕事が忙しい中でもこれから英語学習に着手しようと考えているビジネスパーソンに何かアドバイスはありますか?
田中:まだアドバイスできる感じじゃないんですけど、あと2年くらいたって、僕が海外に営業に行ってたら、「ほぼゼロスタートでも何とか頑張ればいけるぞ」っていう証明になるんじゃないかと。
結局英語は「量」だと思うんです。量を確保する。人が発言しているところで「鼻孔」を見るという、どれだけのインプレッション量を日常で稼ぎ出すかっていう、自分との戦い、勝負だと思うんで、「今日は1000インプレッション位したな。でも覚えてないな」みたいな、そういう、細切れのインプレッションをいかに叩き出すか。特に40歳超えて、忙しい人が英語学習をやろうってなると、どうやって量を稼ぐのかっていうのが大事になってくると思います。
あと、先生の言うことを素直に信じるっていうことじゃないですか?僕は結構、 反骨精神が強いタイプなので、高校のときとか中学のときとか、全然先生の話聞かなかったんですよ。「勉強しろ」とか言われるのもすごく嫌だったですし、校則とかは破るものだと思っていたタイプだったので、先生の言うことを聞いたことがないんですよ大学の時も。
ー今回はどうして素直に聞いてくださったんでしょう?
田中:これは素直にやったほうがいいなと思ったので。
ーよかったです(笑)