
池田 千代和
日系大手IT企業で、データ分析に基づいて経営やマーケティング上の意思決定を支援する仕事をされています。現実をとらえるために、扱うデータのスコープやその処理法から分析結果の伝え方までを日々進化させているのは、仕事というより、もはや生活の一部だそう。読書とマラソンとファッションをこよなく愛し、睡眠時間が異常に短い驚異的にストイックな方です。弊社のレッスンは2021年から週1回受講中。
大手IT企業で活躍する池田知代和氏へのインタビュー。彼の企業が10年以上前に英語を公用語化し、グローバル人材の獲得に成功した一方で、その過程で直面した課題と、それを乗り越えるための英語の真価について語ります。単なる「話せる」英語ではなく、いかに国際的な同僚と円滑に協働できるか、そして英語学習が日本語での思考やコミュニケーションにもたらした意外な効果に焦点を当てています。さらに、Q-Leapのレッスンが文法指導に留まらず、英語にまつわる経営課題にまで踏み込んだ、その実践的なアプローチについても深く掘り下げています。
浅場:まずお聞きしたいのですが、池田さんが「英語力」の必要性を感じたきっかけは何でしたか?
池田:弊社は、もう10年以上前から英語を社内公用語にしているんですね。グローバル企業に進化していくうえで当然の決定で、実際、日本語環境では採用が難しいグローバルタレントが採用できるようになったのは、圧倒的な成果だと思います。でも一方で、英語化によって、私だけではないと思いますが、英語を使い慣れていなかった日本人社員において、一部の業務の効率が落ちてしまった面はありました。そこで、「英語から逃げてはいかん」と。
浅場:そうなんですね。
池田:ただ、社内の英語化が進み、組織が国際化していくなかで、分かったのですが、結局大事なのは「英語が話せること」よりも、「海外出身のメンバーといかにスムーズに仕事ができるか」なんですよね。たとえTOEICの点が高くても、気持ちよく協働できなければ意味がないなと。以前は、文法的に正しい英語を、なめらかに話すことを目指していましたけど、今は「誤解なく伝えあう」ことがゴール。そこを意識しだしてから、生まれてからずっとやってきたはずの「日本語での思考やコミュニケーション」もシンプルになった気がします。
浅場:なるほど。英語のロジックを学ぶことで、日本語での伝え方まで変わってきたというお話はとても興味深いです。
池田:副産物でしたけど、これはすごく大きいです。「英語に訳してもミスコミュニケーションが起きない日本語」を脳内で扱おうとするうちに、普段と違う、よりシンプルな思考のプロセスを回せるようになったり、自分の使う日本語がより伝わりやすくなっていったと思います。
現在の課題と、これからの英語
浅場:今、ご自身の英語力について何か課題はありますか?
池田:実務上のやり取りには不安はほぼないです。当時は、前日からガチガチに緊張していた役員会議での英語のプレゼンも、もう全く抵抗はありません。現状、必要なことを正しく、大きな誤解なく伝えることはできていますが、まだ文法的に正しいだけの僕の英語を不快に思っている同僚もいるだろうとは想像しています。だから「気持ちよく動いてもらう」「こちらの気持ちを伝えた上で動いてもらう」ための英語表現はまだまだ課題です。今は論理と得意の分析だけを使って、ある意味、力ずくで相手を説得してしまっているので。
浅場:そういう「人を動かす言葉」は論理だけでは届きにくいですものね。
池田:そうなんです。だから表現のレパートリーも増やしたいし、なにより、余裕を持ったコミュニケーションを目指したいなと。
浅場:今後の日本のビジネスパーソンにとって英語はどのような位置づけになっていくと思いますか?
池田:短期的には「できないと損」、中期的には「英語だけで良いのか?中国語も必要かも?」、長期的には「AIが翻訳を担うので、浅場さんには申し訳ないですが、英語に限らず、言語の違いが意識されない時代」が来ると思っています。でも、今のところはやっぱり英語ができると、人間関係でも、仕事でも、人生でも、あらゆる選択肢が広がるのは間違いないと思います。
浅場:AIで完璧にカバーできる時代が来るのが早いか、英語ができるメリットが継続する時間が長いか、その方の年齢やキャリアの段階にもよりますね。私の英語講師としての仕事はなくなっちゃいますが、日本人にとって「英語ができることがアドバンテージ」という時代が早く終わって、みんな英語や他言語が苦労なくできる時代が来ると良いですね。
レッスンの「異質さ」が、実は魅力
浅場:そもそもレッスンを受けていただくようになったきっかけは何だったんでしょう。
池田:グローバル案件や海外メンバーとの仕事が増えてきて、実際色々迷惑をかけていたと思うんですが、周りからも受講を薦められたことですね。
浅場:レッスンをレギュラーで始められたのはコロナ禍くらいからでしたね。長く続けてくださっている理由って、何かあるんですか?
池田:このインタビューのお話を頂いてから浅場さんのレッスンの“おかしい”点を頭の中でまとめていたんですが、3つあると思ってます。まずひとつ目は「英語の問題を解く」のではなくて、「英語が関わるマネジメントイシューを解いてもらっている」ってことですかね。これは浅場さんがビジネスパーソンとしての経験とスキルが豊富だからできることだと思ってます。
浅場: あはは。確かにレッスンで英語の問題は解かないですね。
池田:二つ目は、完全に“テーラーメイド”なところ。目的が変わればトレーニングの内容もすぐに変えてくれる。しかも、こちらが気づいてない課題まで見抜いて指摘してくれるのがすごい。Q-Leapのノウハウなのか、今の僕に何が足りていないのかの診断とそれに対する最も効果的なソリューションの選択が的確なんです。この柔軟性の高さとレッスンレパートリーの豊富さはすごいと思っています。
浅場:それはうれしいです。診断もレッスンの一部なので。英語をする目的が明確な生徒さんにはそれが明確な分だけエッジの効いた選択を教える側もできるということだと思います。
池田:三つ目は、レッスンというより「対話」そのものが楽しいということ。実は以前、他の英会話スクールに行ったことがあるのですが、講師とのコミュニケーションが全然楽しくなくて、全く身につかなかった経験があるんです。やっぱり英語を学ぶには、人として「話したい相手」が講師であることが必要だと思いました。コミュニケーションするのが楽しい関係を作ってくださっているということと、浅場さんの圧倒的な雑談の引き出しに感謝しています。
浅場:雑談の引き出し!!そんなふうに言ってくださって光栄です。
最後に
池田:この週1回の60分間のレッスンが「投資」として最高に効率がよいと思っています。僕の場合、マラソンと違って、英語は、努力に対するリターンがまだまだ大きい分野ですから。
浅場:こちらこそ、池田さんたちのグループのスケールの大きな挑戦を間近で見られて、とても刺激を受けています。
池田:これからもよろしくお願いします!
浅場:はい、こちらこそこれからもよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました!