カロリーなんて関係ない Calories do not matter

更新日 : 2018年10月3日

私が痩せたい人にまずお願いすることは、「カロリーを気にしないこと(don’t think about calories)」です。なぜなら、低脂肪のカロリー制限食で痩せてもすぐ戻ってしまうだけではなく、カロリーを気にすることで体脂肪増加や過食などの残念な副作用が生じやすいからです。

「メロンパンとアボカド、どっちが太る?」とお聞きしたら皆さんはどうお答えになりますか?コンビニで売られているものの中には、1400kcalもする高カロリーのメロンパンもありますが、一般的なメロンパン1個の表示カロリーは276kcal、アボカド1個のカロリー262kcalとほぼ同じです。カロリーはほぼ同じですが、メロンパンは低脂肪食、アボカドは高脂肪食です。

メロンパン

メロンパンは、ほとんど砂糖と炭水化物でできているので、食べた直後にブドウ糖と果糖に分解され、残念な負の連鎖(unfortunate negative chain reaction)が始まります。ブドウ糖は血糖値を急上昇させ、内臓脂肪を増やし、食欲を抑えるホルモン(レプチン=leptin)の作用を阻害して見せかけの飢餓感を作ります。

血糖値が上がると、たとえ正常値内でも脂肪分解は起きません。つまり、メロンパンを食べて走っても、体脂肪はそのまま、お腹がすくのでまた甘いものが欲しくなるだけです。

砂糖の分解でできた果糖が事態をさらに悪化させます。血糖値が高いと血管とブドウ糖がメイラード反応(Maillard reaction)という老化を進める糖化反応がおきますが、果糖はこの反応をブドウ糖の8−10倍速で進行させます(1)。メイラード反応が皮膚で起きると、コラーゲンが糖化して肌の張りや弾力性が無くなり、骨で起きると折れやすくなります。また、メイラード反応で糖化した老廃物の蓄積が白内障や動脈硬化を悪化させます。

果糖は肝臓で中性脂肪に変換されるので心疾患の危険性を高めます。この変換でエネルギー物質のATP(アデノシン3リン酸=adenosine triphosphate)が不足、血中尿酸量が増加して通風の危険性が高まります。果糖は血圧も上昇させ、肝臓のインスリン抵抗生*を発現させます。そうなると、肝臓はブドウ糖を取り込む機能が落ち、結果として血糖値が上昇、膵臓はもっとインスリンを分泌するので、さらなる内臓脂肪が増える負の連鎖が続いて行きます。

*インスリン(insulin)は、血糖値が上がると膵臓から分泌される取り込みのホルモンです。血糖値が急上昇すると体内でのインスリンへの需要が高まり、一時的に脳の中でインスリン不足が起こり、脳細胞がブドウ糖を取り込めなくなります。ご飯物やパスタでお腹がいっぱいになると眠くなるのはそのためです。インスリ抵抗生の発現(emergence of insulin resistance)は、肥満をはじめとする糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の根源と考えられています。脳で起きると、脳細胞がエネルギー不足に陥り、記憶力や意欲の低下、過食の原因になります。

たかがメロンパン1個で大げさだ!と思われるかもしれませんが、空腹時に砂糖を飲んだり食べたりすると、カロリーにかかわらずこのような負の連鎖が起こり、確実に体脂肪が増え、老化が進んでいきます。

では、メロンパンの代わりに同じカロリーのアボカドを一個食べた場合を考えてみましょう。アボカドのカロリーの90%は脂質によるもの。脂質は、血糖値に影響しないため、メイラード反応や体脂肪を増やす負の連鎖も起こりません。つまり、高脂肪食でも低炭水化物なら太らないのです。

アボカドを食べると、豊富な脂肪酸が口の中や胃にある受容体を介して満腹中枢にシグナルを送るので過食を防ぎます。その上、アボカドに含まれる必須脂肪酸やビタミンEが痩身効果を高めます。

アボカドに含まれる炭水化物は、主に水溶性の食物繊維なので、良い腸内微生物を増やします。微生物は食物繊維から短鎖脂肪酸を生産、免疫力の調整や糖尿病の予防、過食の抑制など様々な健康効果を発揮します(2)。

いかがですか?カロリーではほぼ同じメロンパンとアボカドですが、一方はメタボにつながる負の連鎖を起こして身体を太らせるのに対し、もう一方は積極的に健康を増進させ、太らせません。

ではカロリーを減らすとなぜ痩せないか?いくつかの例をあげてみました。

  • 低カロリー食品はインスリン値を上昇させる添加物が入っているから。
  • 体脂肪とともに筋肉も減るので、基礎代謝が低くなり、消費するカロリーも下がるから。
  • 体脂肪が減るとレプチンの生産量も減るので食べ足りない感が消えず、ついつい食べ過ぎるから。
  • 量を減らすダイエットは、それ自体が大きなストレスなので、血糖値が上昇し内臓脂肪が増えるから。
  • 「明日からまたダイエットに戻るから」と言って、ケーキバイキングとか焼肉食べ放題に一回行くと、それだけでインスリン抵抗性が発現し、体脂肪が増えて脳も過食脳に変化するから。

「じゃ、どうすれば痩せるの?」と思われる読者のために、健康的に痩せるヒントをTake home messagesとして以下にまとめました。もっと知りたい方は、私のHPをのぞいて見てください。ご質問、コメントをお待ちしています。

Take home messages(重要なこと、覚えていてほしいこと)

  • Do not reduce calories but avoid insulin-rising foods.
    (カロリー制限ではなく、インスリン値を上げる食べ物を避けること)
  • Do not eat or drink sugar when your stomach is empty.
    (空腹時に砂糖の入った飲み物や食べ物に手を出さないこと)
  • Avoid packaged foods but eat whole foods.
    (加工品ではなく、生鮮食品を食べること)
  • Eat more dietary fibers and good fats such as nuts, seeds and fish.
    (食物繊維と、ナッツ・種子類や魚などの良い脂質の摂取量を増やすこと)
  • Remember one binge eating can induce insulin resistance.
    (一回のドカ食いでもインスリン抵抗性は発現することを忘れないこと)

参考文献
1.Gugliucci A. Formation of Fructose-Mediated Advanced Glycation End Products and Their Roles in Metabolic and Inflammatory Diseases. Adv Nutr. 2017;8(1):54-62.
2.Gilbert J. and Knight R. DIRT IS GOOD: The Advantage of Germs for Your Child’s Developing Immune System. GRIFFIN, 2019.

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有馬 佳代

有馬 佳代

遺伝学・栄養学博士、管理栄養士。徳島大学医学部栄養学科卒、米国アリゾナ大学大学院博士課程終了。 カリフォルニア大学アーバイン校とサンディエゴ校での研究活動を経て、Kayo Dietを設立、栄養指導、料理指導およびレクチャーなどを日米で展開しています。
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