Aug 12th, 2017
日本の食育、英語でどう伝える?
夏も真っ只中、いかに涼しくお過ごしでしょうか?
日本語では丁寧に「暑中お見舞い申し上げます」と文頭でいうところ、アメリカ英語ではカジュアルに、stay cool! と会話の最後やメールの最後に加えますね。
さて、今回は日本に帰省中、素晴らしいなと思った日本の食育についてです。
その中で「感心したこと」をいかに英語で伝えるかについて、例文をあげてみます。
長男が体験入学で通学させてもらっている札幌市立の小学校にて、給食試食会に参加した時の話です。
札幌市の公立学校は数校ごとに「栄養教諭」が存在し、主に給食の献立を作成したり、 発達段階に合わせて食育の授業を実施したりしているのだそうです(A)。
栄養教諭のプレゼンテーションで始まった試食会。まず6ページほどの冊子も配られ、たくさんの図表、写真を盛り込んだパワーポイントを駆使して進められていきます。
私はもう、その時点で感心しきり!
頭の中で、いかにアメリカの友人たちに正確に感心した内容を伝えるかを考えてしまいました。
A) Japanese public elementary schools have a teacher whose job is to provide dietary education to children.
最初は「食べさせる」ことが目的だった給食が、現在は「子どもたちが生涯にわたり健康で生き生きとした生活を送るよう、栄養や食習慣、食文化に関する教育や給食を通して、自己管理能力を培うよう学校教育全体で育てる」のがねらいなのだそうです。
先進国なはずのアメリカ、最近はhealthy mealを!とcafeteriaでサラダが付いていますが、まだ「食べさせる」ことが目的のような気がします。このことについても丸々ひとつ、ブログが書けそうです。
さて、例のプレゼンでは写真入り給食の歴史が紹介され。。。
試食会に参加していた保護者の反応も面白くて、「こんなのあったね〜」とか、「鯨肉にミルク入り味噌汁!(昭和30年代)」と驚いたり、実にそれぞれです。
さらに感心したのは、発達段階を考慮に入れた毎日の栄養価の計算はもちろんのこと、 フードリサイクルの取り組み(B)、月に一度の郷土料理の日(C)、など、工夫が施されているんです。
札幌市のフードリサイクルとは、2006年に始まり、環境省の学校給食モデル事業になった取り組みで、給食に出す野菜、小松菜やレタス、玉ねぎ、とうもろこしなどを調理くずや残飯などの生ごみで作った堆肥で地域の農家に委託して育て、食材に利用するのだそうです。その際に、食べ残しから環境のことも考える環境教育につなげているそう!
B) Food recycling – Turning vegetable waste and lunch leftovers into compost, using the compost to grow vegetables locally, and using those vegetables in school lunches, too.
C) In Sapporo, on one day a month, the lunch menu focuses on local and regional dishes. The menu includes not only local Hokkaido dishes but also special dishes from around the world, such as dishes from China, Korea, India, Italy, France and other areas of Japan.
学校給食だより、地産給食新聞、Yes! Cleanマーク(北海道産・クリーン農業技術採用作物)や『さっぽろとれたてっこ』マーク(安全・安心・環境に配慮した地産地消の農畜産物のブランド)の設定、放射線物質検査など、食材の選定や食育に関連する情報発信の取り組みは、本当に充実していてビックリでした。安全性を前面に押し出している印象でした (D)。
D) The city promotes food safety by establishing certification labels for organically and safely produced and harvested food and by conducting radioactivity inspections.
さらには給食のレシピまでウェブサイトで公開・・・至れり尽くせりですね (E)。
E) Even information such as the recipes for the dishes served in school lunches is distributed via newspapers and put on the school’s website.
ちなみに息子くん、毎朝給食の献立をチェックしてから登校、帰宅後の第一声も「今日も美味しかった」。そりゃあ、ジンギスカンやスープカレーなど郷土料理として出されてみてください!
地元愛も胃袋から育まれるというものですね。
The way to foster love for the community is through kids’ stomachs!
(Original saying: The way to a man’s heart is through his stomach. 男性の心は胃袋からつかめ)
全米・カリフォルニア州認定スクールサイコロジスト、通訳・翻訳者。
筑波大学大学院教育研究科・臨床教育学修士(MS)、米国サンディエゴ州立大学大学院カウンセリング学科学校心理学プログラム修了(MA & EdS)。日本にて小中学校職員及びカウンセラー、大学カウンセリングチームメンバーとして勤務。カリフォルニア州にて自閉症児への行動セラピスト、特別支援学級職員として勤務。学校心理学関係の研究員、特別講師を兼務しつつ現職。