Nov 4th, 2014

Beyond native speakers (6) Vulnerableな自分を克服する


Vulnerable (傷つきやすい・恥を伴う)… 英語と私の関係は正にこれ

Vulnerableってどう発音するんでしょうか。。。人によっても違うみたいなのです。前から心の中で「むむむ?」と思っていたのですが、下のTED Talkがきっかけで 先週のレッスンではGeoff先生とこれについて練習する事になりました。11 Must See TED TalkのひとつのBrene Brownさんのこのビデオがとても好きなのですが、この中での彼女のvulnerableの発音はすごくたくさんの音を落としていてもはや「ヴォーンラブ」程度にしか聞こえません。

 

 

さて、Geoff先生との毎回の授業のスタートはいつも

「何か気になっている事ある?」

で始まります。
で、今日は勇気を出して
「あの、、、vulnerableの正しい発音教えて下さい!!」Adore

「Vulnerable? そりゃまた難しいの持って来たね。。。」

と言うなり発音しながら怒濤のようにSkypeのテキスト画面にいろいろタイプしてくるGeoff先生, ついて行くのが必死です。
先週のはこんな感じでした ⇩⇩⇩⇩

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やっぱりそれなりのfast speechだとvunrablみたいな音になるようです。私にとって一番難しかったのが、このalveolar stop の/n/から/r/へ移行するところです。この回のレッスン時間の大半はこの練習に費やすことに。。。どうしても/n/の音を出す時に口をやや閉じそうになるのですが「口開けたままで/n/ から/r/ へ行く!」と厳しく指導されました。口を開けたままで。。。って先生はもちろん軽々やってますが、アタシには難しい!!!それにいつも生徒さんには「恥ずかしがらないで口を開けて!」って言っているくせにいざ自分も大口を開けっ放しでSkypeとなると恥ずかしい気持に負けそうになります。そんなわけで練習時間内にはぎこちなくしか出来なかったので、1週間の間ず〜〜っとヒマがあれば練習していたらかなりスムーズに発音できるようになってきました。やっぱり筋トレしかないですよね、発音は。でもこうやって??と思っていた単語をしっかりと発音できるようになるって自分にとっては小さな幸せです。今こんな風に思う事ができる自分がいるのは本当に不思議ですね。少し前までは、まあそして今も英語に対してvulnerableである自分とお付き合いしているわけなので。

 

 

 

このvulnerable(傷つきやすい)であることって英語の学習ともとても関係があるように思います。英語って必修課目なので日本人の全員が習う言語ですよね。そうすると他人と比較して様々な感情が英語に絡み付いて来ます。大得意ならいいのかもしれませんが、恥ずかしい気持や劣等感、挫折感など英語の学習の過程で心に傷を受けた人も多いのではないかな?と思います。少し以前、帰国子女は日本に戻ると自分の発音をわざと日本語っぽい英語に変えて行くという報告がされたことがあります。英語があまり出来ると学校で虐められてしまった時代もあるんですよね。それほどに英語に対する私たちのコンプレックスは深い、と言えると思います。これがイタリア語や中国語、ドイツ語などだったらやっているだけで「すごい!」って言ってもらえるのに、英語じゃあそういうわけにはいかないんですよね。

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私はタイのバンコクで高校を卒業して日本の大学に帰って来ました。そもそもタイのインターナショナルスクールでは他のヨーロッパ人に比べて自分の英語の上達のあまりの遅さに挫折感を目一杯味わった挙げ句、英語に対してみじんの自信もないまま日本に帰って来たにも関わらず、今度日本では「帰国子女なの?じゃあ英語はペラペラだね!」って在米17年とかの帰国の子達と十把一絡げに語られてしまう恐怖。いろいろ学んだ今は「一部のヨーロッパ人があっという間に英語を習得するのは母国語との関係から当然」と思えますが、その当時はそんな事は知りませんでしたし、単純に自分がダメなんだ、としか思えませんでした。

そんなわけで私は大学時代、英語に関しては完全にシャッターを下し、「英語はなるべく見たくない」状態で4年間過ごしました。英語は私の最大のコンプレックスであり、英語なんて大大大っ嫌いでした。「こんなはずじゃなかったのに。。」という自分に対する失望と、挫折感で私の中では英語はもっともアンタッチャブルな領域となりました。大学卒業後、外資系に長く勤めるのですが、そこでも劣等感とコンプレックスとプライドの空恐ろしいまでのせめぎ合いの中で英語と付き合ってきました。いつかブログでその事についてお話しできる時が来るかもしれませんね。でも、だからこそ生徒さん達の「恥ずかしい」「苦手」「出来るようになる気がしない」という苦しい気持を今共有できる自分がいるのだと思います。

 

私はYoutubeのこのBrene BrownさんのTED Talkを観て、そしてvulnerableという単語をきちんと発音できるようになって、ちょっぴり、ほんのちょっぴりだけ自分のコンプレックスをプラスのほうに動かせたような気がします。生徒さん達がdemotivate (やる気を失う)されないようにするためには授業の中で少しでも「出来るようになった」を実感していただくしかないと思いながら毎日の仕事と向き合っています。

最近やっと、「英語?誰だってやれば出来るようになりますよ。何歳からだって大丈夫!!」って心の底から言えるようになりました。