ビジネスに役立つ経済金融英語 第20回:グローバルサウス(Global South)


1.「グローバルサウス」に対する関心の急速な高まり
ここにきて「グローバルサウス」(新聞等では「南半球を中心とした途上国」といった訳注がつくことが多い)に対する関心が世界的に高まっている。つい先日(2023年4月9日)のNHK日曜討論のテーマも「徹底分析 『グローバルサウス』から見た世界」で、グローバルサウスの定義に始まり、これまでの経緯や現在の位置づけなどについて専門の研究者が意見を披露しあった(1)。G-7諸国の相対的地位が低下し、ウクライナ戦争が混迷の度を深める中で、「グローバルサウス」諸国を取り込もうとする東西両陣営の綱引きも激しさを増している模様である。
(1)https://www.nhk.jp/p/touron/ts/GG149Z2M64/episode/te/6NW9ZLG59M/
2.「グローバルサウス」とは何か
ただし、「グローバルサウス」とは具体的にどの諸国を指すのか、どういう特徴があるのかについてはまだ定説がないようだ。実際、NHK日曜討論でも「グローバルサウスについては、明確な定義はありません」と指摘していた。
英語の辞書を覗いてみる(本稿における辞書や記事の翻訳、太線、下線、注などの挿入は、特に断りのない限りすべて鈴木。なお「グローバルサウス」は、辞書や記事のコピーも含めて「グローバル」と「サウス」の間は「中黒なし」で統一して表記する)。
記事1:「グローバルサウス」:辞書の定義
① ケンブリッジ上級学習英英辞典
the group of countries that are in Africa, Latin America, and the developing parts of Asia:(アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの発展途上地域に位置する国々のグループ)
(the Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus © Cambridge University Press)
https://dictionary.cambridge.org/us/dictionary/english/global-south
② コリンズ英語辞典
The global south consists of the poorest and least industrialized countries, which are mainly in the southern part of the world.
(「グローバルサウス」とは、主に世界の南部に位置する最も貧しい、最も工業化の進んでいない国々で構成されている。)
(Collins COBUILD Advanced Learner’s Dictionary. Copyright © HarperCollins Publishers)
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/global-south
これらの定義から分かるのは、「グローバルサウス」は(先進諸国から見て)地理的に南側にあり、経済的には「貧しい国々」といった印象だろう。しかし、「南北問題」(1950年代末から指摘され始めた北半球に偏在する先進諸国と南半球に偏在する開発途上諸国との間の経済格差に基づく政治的、経済的諸問題)や「非同盟運動」(第二次世界大戦後の東西の冷戦期以降に、東西のいずれの陣営にも公式には加盟していない諸国による国際組織)、「第三世界」(第二次大戦後の冷戦期に、西側諸国(第一世界)と東側諸国(第二世界)のどちらにも属さない国々とされたアジア・アフリカ・ラテンアメリカなどの開発途上国のこと)といった用語を我々は昔から知っており、いったいそれらと「グローバルサウス」とは何が違うのだろう?と思う方は多いはずだ。
何しろ概念が新しく定義がはっきりしないので、さまざまに検索してどのような使われ方をしているかを探るしか手はなさそうだ。「グローバルサウス」諸国が抱える貧困問題や環境問題に取り組んでいる非営利・非政府組織Global South Initiativeは「グローバルサウス」を次のように定義している。
記事2:非営利・非政府組織による「グローバルサウス」の定義
What is “global south”?
For OM’s purposes, “global south” refers to Africa, Latin America, the Caribbean, Eastern Europe, the Middle East and Asia (excluding Korea, Hong Kong, Japan, Taiwan and Singapore). The term “global south” is used (by the UN, for instance) to refer to the countries that used to be called “Developing Nations”.
「グローバルサウス」とは何か?
OM*が定義する「グローバルサウス」とは、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海諸国、東欧、中東、アジア(韓国、香港、日本、台湾、シンガポールを除く)を指す。「グローバルサウス」という用語は、国連などで使用され、かつて「開発途上国」と呼ばれていた国々を指すために使用されている。
https://www.omgsi.org/page/global-south-definition/
*この非営利組織はキリスト教の世界規模の宣教団体でOM(Operation Mobilisation)によって運営されている。
この定義は、単に地理的な「南側」から広がっているものの、「開発途上国」、つまり経済的には先進諸国に比べ貧しい地域という印象を受ける。
一方VOGUE Japanのホームページに次のような記事が見つかった。
記事3:「グローバルサウス」:専門研究者による3つの定義
バージニア大学教養学部でグローバルサウスを専門に研究するアン・ガーランド・マーラー准教授によると、「グローバルサウス」には3つの定義がある。
第一に、国連などの機関がアフリカ、アジア、南米を指す地理的な区分としてこの用語を用いるケース。
第二に、研究者や活動家が「現代の資本主義のグローバル化によって負の影響を受けている世界中の場所や人々」を指して「グローバルサウス」と呼ぶ場合。
北半球にもグローバルサウスは存在するというこの見方から派生した第三の定義として「複数の“南”が互いに認め合い、どの“南”にも共通する条件について考えるグローバルな政治的コミュニティー」もグローバルサウスを名乗るようになった。
(「理不尽に被害を被る「グローバルサウス」の人々のために、“北”にいる私たちがすべきこと。【コトバから考える社会とこれから】」 by REINA SHIMIZU 2021年5月1日 VOGUE Japan)
https://www.vogue.co.jp/change/article/words-matter-global-south
なお、記事3の上には欧州・アフリカを中心とする世界地図が掲載され、上(北側)3分の1とオーストラリア・ニュージーランドが紺色、下(南側)3分の2が赤で塗られて、「欧米諸国など豊かな生活を享受するグローバルノースに対するグローバルサウスは、かつて第三世界や開発途上国と言われた国々と重複する。地理的にはその多くが北半球に位置する」との説明文がある。
記事3から想像できるのは、一口に「グローバルサウス」と言っても、それを言う人の立場や論点の置き方によって三つの定義(の意味合い)が明確に区分されずに使われており、結果としてコトバの意味が、人により、また時代により変わってきているらしいということだ。もう一つは、「サウス(南)」=「貧困」と言われていた時代から時間の経過とともに言葉の意味が広がって「グローバルサウス」という言葉ができたらしいということだ。それが「明確な定義がない」ゆえんではないかと思われる。さて、個別に見てみよう。
第一の定義は記事から明らかだ。先に紹介した「第三世界」的な意味合いだ。
第二の定義は少しぼんやりしている。そこで出所を見てみることにする。幸運なことに、VOGUE記事で紹介されていたアン・ガーランド・マーラー准教授が2017年に執筆した論文What/Where is the Global South?(グローバルサウスは何で、どこにあるのか)がウェブ上に見つかった。次の記事4はそこからの引用で、「第一の定義」に続く段落からの引用である。
記事4:(地理的にではなく)経済的に不利な立場に置かれているという意味での「グローバルサウス」(グローバルサウスの「第二の定義」)
However, in recent years and within a variety of fields, the Global South is employed in a post-national sense to address spaces and peoples negatively impacted by contemporary capitalist globalization.(しかしながら、近年では、さまざまな分野で、現代の資本主義的なグローバル化によって負の影響を受けた領域や人々に対して、国家を超えた意味で用いられている)。
In this second definition, the Global South captures a deterritorialized geography of capitalism’s externalities and means to account for subjugated peoples within the borders of wealthier countries, such that there are economic Souths in the geographic North and Norths in the geographic South. While this usage relies on a longer tradition of analysis of the North’s geographic Souths–– wherein the South represents an internal periphery and subaltern relational position –– the epithet “global” is used to unhinge the South from a one-to-one relation to geography.(この2番目の定義では、グローバルサウスという言葉は資本主義の外部性(が影響を与える)非領域化された地理を捉え、またそれらの富裕国の内部にいる支配された人々についても説明しようとする手段である。そのため、地理的に北(Norths)に位置する場所に経済的な南(Souths)があり、地理的に南(Souths)に位置する場所には北(Norths)が存在する。この用法は、北半球から見たSouth(南側の地域)が周辺部および下位関係の位置を表していると分析する長い伝統に基づいている。しかし、「グローバル」 という言葉を用いることによって、南側の地域を地理的な位置だけで決めつける一義的な関係から解き放っているのだ。)
”What/Where is the Global South?” by Anne Garland Mahler. Global South Studies. University of Virginia(「グローバルサウスは何で、どこにあるのか」アン・ガーランド・マーラー『グローバルサウス研究』 バージニア大学)
https://globalsouthstudies.as.virginia.edu/what-is-global-south
学術論文なので英語もすごく難しいが、ここで「資本主義の外部性(が影響を与える)非領域化された地域」とは何か?「市場における商品やサービスの生産や消費によって発生する経済的影響のことで、具体的には、環境汚染、自然資源の枯渇、労働者の搾取、社会的不平等など」というChat GPTの回答は非常に説得力がある(公開されている英文なので、この論文を示し、「『deterritorialized geography of capitalism’s externalities』『capitalism’s externalities』とはそれぞれどういう意味ですか?」と尋ねてみました。あくまでもご参考まで)。「サウス(Souths)」という言葉を「北」とか「南」とか地理的な問題としてとらえるのではなく、経済的な意味で先進資本主義諸国の犠牲となった諸国と捉えるのだ。地理的に北の地域にも南(Souths)は存在するし、地理的に南の地域にも北(Norths)が存在する、ということなのだろう。これで記事3の第2の定義は納得がいく。
そして第三の定義、「政治的コミュニティー」としての「グローバルサウス」に関する注目すべき動きとしては、今年1月中旬、125カ国の代表が参加して開催された「グローバルサウスの声サミット」(オンライン会合)が挙げられる。その席でインドのモディ首相は次のように高らかに宣言した。
記事5:「グローバルサウスの声サミット」でのモディ首相の怪気炎
We, the Global South, have the largest stakes in the future. Three fourths of humanity lives in our countries. We should also have equivalent voice. Hence, as the eight-decade old model of global governance slowly changes, we should try to shape the emerging order.(私たち、グローバルサウスは将来に最も大きな利害関係を持っています。人類の4分の3が私たちの国々に住んでいるのですから、相応の発言力が必要です。したがって、80年にわたるグローバル・ガバナンス(世界で起こる多様な問題を解決するための政治的相互作用)のモデルがゆっくりと変化する中で、私たちは新しい秩序を形作るよう努めるべきです)。
(中略)
As India begins its G20 Presidency this year, it is natural that our aim is to amplify the Voice of the Global South. For our G-20 Presidency, we have chosen the theme of – “One Earth, One Family, One Future”. This is in line with our civilizational ethos. We believe the path to realizing ‘oneness’ is through human-centric development. People of Global South should no longer be excluded from the fruits of development. Together we must attempt to redesign global political and financial governance. This can remove inequities, enlarge opportunities, support growth and spread progress and prosperity.(今年、インドがG-20議長国を務める(2022年12月1日から2023年11月30日まで)にあたり、グローバルサウスの声を強めることが自然な目標であると考えています。私たちはG-20議長国として「一つの地球、一つの家族、一つの未来」というテーマを選びました。これは、私たちの文明の精神と一致したものです。「一つになる」という目標を達成するための道は、人間中心の開発であると私たちは信じています。グローバルサウスの人々は、もはや開発の成果から排除されるべきではありません。私たちはともに、グローバルな政治と金融ガバナンスを再設計する必要があります。これにより、不平等を取り除き、機会を拡大し、成長を支援し、進歩と繁栄を広めることができるのです)
(以下略)
(PM’s remarks at opening session of Voice of Global South Summit 2023(「グローバルサウスの声サミット2023」の開会式におけるモディ首相の発言:インド首相ホームページより)
3.「グローバルサウス」をめぐる日本および西側諸国の右往左往
グローバルサウス側のこうした超強気の、ある意味で余裕しゃくしゃくの姿勢に対し、先般軽井沢で開催された主要7カ国(G-7)外相会合(4月16日~18日)では「グローバルサウス」を何とか取り込みたい西側諸国、とりわけ議長国である日本の必死の姿勢が明らかだった。
記事6:グローバルサウスをめぐる陣取り合戦
今回のG7外相会合で大きな焦点となったのが「グローバルサウス」をめぐる中国やロシアとの綱引きです。
林芳正 外務大臣
「グローバルサウスと呼ばれる新興国・開発途上国がさまざまな課題に直面している中で、我々はG7が彼らと協力して問題を解決する準備ができていることを示したい」
今回のG7外相会合で議論の中心の一つとなった「グローバルサウス」。南半球を中心とした新興国や途上国のことで、今、国際的に存在感が高まっています。
(中略)
さらに、経済成長を続ける中国もグローバルサウスへの影響力を強めています。力による現状変更の動きを見せるロシアや中国に対抗するため、G7としてもグローバルサウスとの関係強化が欠かせなくなっているのです。(以下略)
(「『グローバルサウス』の存在感高まる 『中露』への対抗で関係強化、欠かせず G7外相会合が閉幕」TBSテレビ 2023年4月18日))
実際、外務省のホームページを見ると、G7広島サミット(5月19日~21日)を1カ月後に控え、日本政府の前のめりの姿勢がうかがえる。次は外務省のホームページ「G7長野県軽井沢外相会合 (「ウクライナ」セッション概要)」から(英語、日本語ともに外務省)。
記事7:「グローバルサウス」との連携強化が強調されたG7外相会合
During the session, there was an open exchange of views regarding the situation in Ukraine including an assessment of the current status and future prospects. Minister Hayashi stated that amidst the protracted war, it is important to maintain unity among the G7 and other like-minded countries, to continue severe sanctions against Russia and strong support for Ukraine, and to strengthen cooperation with countries including the so-called “Global South”.
(“G7 Foreign Ministers’ Meeting in Karuizawa, Nagano(Overview of the “Ukraine” Session)” Ministry of Foreign Affairs of Japan)
https://www.mofa.go.jp/ms/g7hs_s/page1e_000624.html
本セッションでは、ウクライナ情勢について、現状の評価や今後の見通しを含め、率直な意見交換が行われました。林大臣からは、戦争が長期化する中で、G7をはじめとする同志国の結束を維持し、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続すること、また、「グローバルサウス」を含む国々との連携も強化することが重要である旨述べました。
(「G7長野県軽井沢外相会合 (「ウクライナ」セッション概要)」外務省)
しかし結局、岸田首相と林外相のあれだけ必死の熱の入れようにもかかわらず、会合が終わってみると次のようになってしまった。
記事8:「グローバルサウス」という文言が共同声明に入らず
主要7カ国(G7)外相が18日に発表した共同声明には日本政府が多用していたグローバルサウス(南半球を中心とした新興国・途上国)の文言が入らなかった。米国から「上から目線ではないか」との問題提起があった。
共同声明では「パートナー」などと記した。日本外務省によると、パートナーにはグローバルサウスとされる国々も含む。林芳正外相は18日の議長国の記者会見で「いわゆる」と前置きしてこの言葉を使った。
岸田文雄首相は2023年の年頭の記者会見で「グローバルサウスとの関係を強化し、食糧危機やエネルギー危機に効果的に対応していくことが必要だ」と発言した。5月のG7首脳会議(広島サミット)に向けたキーワードと位置づけていた。
インド、ブラジル、インドネシアなど米中と一定の距離を置く国を念頭に関係強化を進める狙いがあった。
(「『グローバルサウス』使わず、G7外相共同声明」 2023年4月18日付日本経済新聞電子版)*有料記事です。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA18C340Y3A410C2000000/
まさに「大山鳴動して鼠一匹」の図である。G-7諸国と「グローバルサウス」諸国との関係は、決して悪くはないものの相思相愛ではない。グローバルサウスを招き寄せようとする西側先進諸国(議長国なので特に焦った岸田/林コンビ)、中国、ロシアと、そこから一定の距離を置こうとするグローバルサウス側の「微妙な関係」をうまく報じたのが次の共同ニュースの英語記事だ。G-7外相会合直前に配信された記事だが、状況を冷静にとらえていると思う。ここまで紹介した内容の「まとめ」のつもりでお読みいただきたい。
記事9:日米欧、中露、「グローバルサウス」間の微妙な三角関係
The Group of Seven industrialized nations face an increasing need to cooperate with developing countries in the Global South to deliver a strong message one month ahead of the G-7 summit, as they seek to uphold their vision of a rules-based international order challenged by Russia and China.(先進7カ国(G-7)は、ロシアと中国による挑戦に対峙し、ルールに基づく国際秩序のビジョンを維持しようとする中で、G-7サミットを1カ月後に控え、グローバルサウスの開発途上国と協力して強いメッセージを発信する必要性が高まっている)
(中略)
The Global South is a term that collectively refers to developing nations mainly in Asia, Africa and Latin America. Such countries often value economic ties with China, as well as some form of military cooperation with Russia, and can be ambivalent about the concept of a U.S.-led international order.(「グローバルサウス」は、主にアジア、アフリカ、ラテンアメリカの開発途上国を総称した言葉である。これらの国々は、しばしば中国との経済的な関係、ロシアとのある種の軍事協力を重視し、米国主導の国際秩序の概念については曖昧な態度を取ることがある)
“The Global South is not a monolith and there is much variation among countries, but they have been growing increasingly confident that the future order of their global and regional environments depends on themselves, both politically and economically,” Ito said.(「グローバルサウスは一枚岩ではなく、国によって大きな違いがあるが、地球・地域環境の将来の秩序は、政治的にも経済的にも自分たちにかかっているという自信を深めています」と伊藤氏(伊藤 融防衛大学校教授)は述べている)
(中略)
The term has come under the spotlight since Russia’s invasion of Ukraine, as many developing nations have not joined the West in imposing economic sanctions on Moscow.(「グローバルサウス」という用語は、ロシアがウクライナに侵攻した以来、西側諸国のロシアに対する経済制裁に多くの開発途上国が加わらなかったため、注目されるようになった)
(中略)
As the G-7 seeks to step up collaboration with countries in the Global South, India is likely to be key, having demonstrated its eagerness to “amplify” the voices of developing economies.(G-7がグローバルサウス諸国との協力を強化しようとする中、インドは、開発途上経済の声を「増幅」することを熱心に示しており、今後は重要な役割を果たすことになろう)
In March, Japanese Prime Minister Fumio Kishida, who will chair the G-7 summit in May, flew to New Delhi to deepen cooperation with India, which took the helm as chair of the Group of 20 advanced and emerging economies this year.(5月に開催されるG-7サミットの議長を務める日本の岸田文雄首相は、今年G-20の議長国を務めるインドとの協力を深めようと3月にニューデリーを訪問した)
India is seen as a country with the potential to become an economic superpower, overtaking Britain, its former colonial ruler, last year to become the world’s fifth-largest economy. India is projected to surpass China to become the world’s most populous nation sometime this year.(インドは、昨年旧宗主国のイギリスを抜いて世界第5位の経済大国に躍進し、将来は経済超大国になると見られている。さらに、今年中に中国を抜いて世界最大の人口を持つ国になると予測されている)
(中略)
… India has been pursuing a vision of “strategic autonomy” in foreign affairs and has long-standing military ties with Moscow. It has not joined in sanctioning Russia despite being a member of the Quad group, which involves Japan, the United States and Australia, and which commits itself to upholding the rules-based international order.(・・・インドは外交において「戦略的自律性」を追求しており、ロシアとの長年の軍事的関係を築いてきた。日本、アメリカ、オーストラリアを含む「クアッド」(日米豪印)グループのメンバーであり、ルールベースの国際秩序を維持することを約束しているにもかかわらず、ロシアへの制裁には参加していない)
(中略)
The Global South nations “take a cold view” toward Western powers promoting values such as democracy, said Yuko Ido, a junior research fellow of an institute at the Tokyo University of Foreign Studies, with expertise in the politics and economies of the Middle East and North Africa.
(「グローバルサウスの国々は、「民主主義」などの価値観を推進する西側諸国に対して『冷ややかな見方』をしています」と東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所のジュニア・フェローであり、中東や北アフリカの政治や経済を専門とする井堂有子氏は述べている)
(以下略)
(”FOCUS: Global South key for G-7 to counter Russia, China, despite challenges” by Keita Nakamura. KYODO NEWS. April 12, 2023)
(「焦点:さまざまな課題はあるものの、G-7がロシアや中国に対抗するには、グローバルサウスが重要」中村啓太記者 共同ニュース。2023年4月12日)
4.「グローバルサウス」という言葉に惑わされるな
最後に、元国連事務総長の赤阪清隆氏がお書きになった意見文が見つかったのでご紹介したい。グローバルサウスの「うさん臭さ」を指摘する記事だ(英語、日本語ともに日本英語交流連盟ホームページからの転載)。
記事10:「グローバルサウスという言葉に惑わされてはいけない」
Lately, everyone is using the term ‘Global South’. Although the definition of the term is still unclear, it appears to be more or less the same as the previous terms ‘developing countries’ or ‘the third world’. Why, then, has the term come into use?
このところ、誰もかれもが、「グローバルサウス」という言葉を使うようになっている。その定義はまだ定かでないものの、これまでの「開発途上国」や「第三世界」というのと大なり小なり変わらない模様である。それなら、なぜこの言葉が使われるようになったのだろうか?
The term ‘Global South’ appears to mean developing and emerging countries in the regions of Asia, the Middle East, Africa, and Latin America. The term is apparently used in contrast to the Global North, which means developed countries. Countries sandwiched between the Western developed countries and the authoritarian states of China and Russia are considered to belong to the Global South because their economic and social development lags behind that of the developed countries of the northern hemisphere and the majority of them belong to the southern hemisphere.
グローバルサウスとは、アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカの地域に含まれる開発途上国や新興国のことを意味するとみられる。先進国を意味するグローバルノースに対比する呼び方であろう。米国などの西側先進国と、中露の権威主義国のあいだに位置する国々は、経済的、社会的な発展が北半球の先進国に比べて遅れ、しかも大半が南半球に属するので、グローバルサウスと呼ぶようになっていると思われる。
(中略)
Until recently, the term ‘developing countries’ has been used to refer to underdeveloped countries, but a strict international definition of the term has not been in place. The term has only been used to refer to countries that are not developed. Then, is there a definition of ‘developed countries’? Actually, there isn’t either.
これまで「開発途上国」あるいは「発展途上国」という言葉が使われてきたが、これらの言葉にも、国際的に厳格な定義があったわけではない。先進国でない国々を、そう呼んだにすぎない。それでは、「先進国」というのには定義があるのだろうか? 実は、それもない。
(中略)
One of the reasons why the term ‘Global South’ has become a popular buzzword is that developing countries are no longer monolithic, and the gap between economic giants and very rich countries on the one hand, and poor countries on the other is widening, making it difficult to lump them all together. To wrap up this reality, the term ‘Global South’ must have come to be seen as a novel, easy-to-use word, and conveniently ambiguous.
グローバルサウスという言葉がはやり言葉になった一因は、途上国がもはや一枚岩ではなく、その中で、経済大国や、非常にリッチな国々と、まだまだ貧しい国々との格差が広がっており、すべてをいっしょくたにしてとらえ難くなっていることがあげられよう。その実態をオブラートで包み隠すため、「グローバルサウス」という言葉は、曖昧ではあるものの、新鮮味があり、使いやすい新語とみなされるようになったのではないだろうか?
For this reason, there is a somewhat suspicious smell about the term ‘Global South’. It would be easier to distinguish among countries if there were clear criteria, such as the aforementioned US proposal, but this would require international agreement. An agreement has been difficult because some developing countries want to join the developed group as early as possible, while others, on the other hand, want to remain in the developing group and enjoy preferential treatment for as long as possible. So, there is a lack of consensus on this key issue.
このため、このグローバルサウスという言葉には、何かうさん臭いにおいが漂う。前述のアメリカ提案のような、明確な基準があれば区別が容易になるのだが、そのためには国際的な合意が必要だ。合意が困難なのは、早く先進国グループに入りたいという途上国がある一方で、反対に、できるだけ長く途上国グループに残って、優遇措置を受けていたいと思う国もあって、意見がまとまらないからである。
(中略)
The ambiguity of the term makes it convenient to be used with as much flexibility as one would like, but depending on how it is used, caution may be necessary to avoid pitfalls.
あいまいな言葉だけに、融通無碍な使い方ができる便利な言葉ではあるが、使い方次第では落とし穴に警戒も必要だ。
“Don’t let the term ‘Global South’ deceive you”(「グローバルサウスという言葉に惑わされてはいけない」) by AKASAKA Kiyotaka, Former Under-Secretary-General of the UN(赤阪 清隆 元国連事務次長). Japan in Their Own Words (JITOW)(日本からの意見).
2023年 4月 6日
(一般社団法人 日本英語交流連盟ホームページより)
これくらい引いて考えた方がよいかもね。
ではまた来月!
過去の記事一覧
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米国は2022年1-3月期(第1四半期)に続き、第2四半期も実質ベースでマイナス成長となった。金融レポート等では2四半期連続のマイナス成長になるとあっさり「景気後退」と訳すことが多いが、英語ではTechnical Recession、最近は「景気後退」と分けて、あるいは注釈をつける形で「テクニカル・リセッション入り」という訳語も見かけるようになった。今回はこの話題を取り上げる。 まずは第2四半期の成長率が発表された7月28日の『ウォーストリート・ジャーナル』紙の記事から(有料記事です。なお本稿での太字、挿入はすべて鈴木)... ビジネスに役立つ経済金融英語 第13回 Technical Recession - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
今月は、日米両国で中央銀行総裁の「一言」が物議を醸し出しました。次は、本年5月4日に行われたパウエルFRB議長の記者会見から(翻訳、太字、下線はすべて鈴木) Now, I would say I think we have a good chance to have a soft or softish landing, or outcome, if you will. And I’ll give you a couple of reasons for that. One is, households and businesses are in very strong financial shape. You’re looking at, you know, excess savings on balance sheets; excess in the sense that they’re substantially large... ビジネスに役立つ経済金融英語 第12回 ”Softish” landing - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
以下は、4月27日付のニューヨークタイムズ紙のOpinion欄から(本稿での翻訳、下線、太字はすべて鈴木)。 Dr. Anthony Fauci, President Biden’s chief medical adviser, told “PBS News Hour” that “certainly” America is now “out of the pandemic phase” of Covid-19 as our rates of new infections, hospitalizations and deaths continue to ebb. But, he added, “We’re not going to eradicate this virus.” Our best hope is to “keep that level very low, and intermittently vaccinate people,” possibly as often as... ビジネスに役立つ経済金融英語 第11回 PandemicからEndemicへ - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
まず、次の文章をお読みいただきたい(本稿での翻訳、下線、太字はすべて鈴木) By the way, I can’t help mentioning that recent events have also confirmed the truism that many, perhaps most men who pose as tough guys … aren’t. Putin’s response to failure in Ukraine has been extremely Trumpian: insisting that his invasion is all going “according to plan,” refusing to admit having made any mistakes and whining about cancel culture. I’m half expecting him to release battle maps crudely modified ... ビジネスに役立つ経済金融英語 第10回: Cancel Culture - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
日本経済新聞「経済教室」の2月8日(火)と9日(水)に「ジョブ型雇用とリスキリング」という共通テーマで論文が2本掲載された。8日が「企業、労働者の自律 後押しを」(阿部正浩・中央大学教授)(「論文1」)(1)、9日が「人的資本投資の増大 促進も」(大湾秀雄・早稲田大学教授)(「論文2」)(2)。両者をあたかも1本の論文のように実に荒っぽく要約した(本稿の太字、下線、英語の日本語訳はすべて鈴木): デジタルトランスフォーメーション(DX)が進行して、情報通信技術(ICT)・人工知能(AI)分野を中心に企業... ビジネスに役立つ経済金融英語 第9回:Reskilling - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
1月28日(金)付日本経済新聞のコラム「大機小機」のタイトルは「人減る日本、活路に二つの難題」。日本の生産性を上げるには、労働市場の硬直化と暗記偏重の学校教育を見直す必要があるという新味のない内容だったが、次のような記述が目を引いた(引用文の翻訳、太字および下線はすべて鈴木)。 ……先日、ニューヨーク・タイムズ(デジタル版1月4日付)に、米国が大離職時代を迎えている、という記事が掲載された。それによると、昨年11月の自発的離職者がこの20年間で最大を記録した、という。しかも自発的離職者の賃金が離職し... ビジネスに役立つ経済金融英語 第8回:The Great Resignation - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
皆様、あけましておめでとうございます。 Time誌(2021年12月27日/2022年1月3日号)は「今年の人(Person of the Year)」特集で、テスラ(Tesla)とスペースX(Space X)の創業者イーロン・マスク(Elon Musk)氏を選出したが、本稿のテーマは同誌の同じ号に載った “Language”、つまり「今年の言葉」。紹介された12の用語のうち、経済金融に近そうだと思われる三つを紹介する(英語の後の翻訳はすべて鈴木)。(1) NFTInitialism: Non-fungible token:a digital file that cannot be copied, thus allowing certifies ownership... ビジネスに役立つ経済金融英語 第7回:Time誌が選んだ「2021年 今年のことば」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
さる11月13日(土)に予定より1日後れで閉幕した「COP26」についてのミニ知識を。 まず、BBCの以下のビデオ(2分)をご覧下さい(英語。日本語の字幕付きです)。https://www.bbc.com/japanese/video-59129799 会議の正式名称:「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(The 26th Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)」。「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第26回締約国会議(平たく言えば「関係者会議」)(COP26)」というわけ。COPは1995年にドイツのベルリンで... ビジネスに役立つ経済金融英語 第6回:今さら聞けない(?)COP26の基礎の基礎 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
Sorry Millennials, your time in the limelight is over. Make way for the new kids on the block - Generation Z – a generational cohort born between 1995 and 2009, andlarger in size than the Millennials (1980-1994). (2018年6月、Barclays Research Highlights: Sustainable & Thematic Investing)(ごめんね、ミレニアル。君たちが脚光を浴びる時代は終わった。新顔に道を譲りたまえ。1995年から2009年に生まれて、君たち(1980~1994年生)よりも規模が大きい、「ジェネレーションZ」にね)(本稿の翻訳と下線はす... ビジネスに役立つ経済金融英語 第5回:Generation Z(「ジェネレーションZ」/「Z... - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
「アベノミクス」「黒田バズーカ」という言葉がはやり始めた8年ほど前から、デフレ、リフレ、ディスインフレなど似たような言葉が次々と出てきて混乱する向きもあるのではないか。そこで前回は、その中で多くの人が最も冷や汗をかきそうな「リフレーション」を取り上げた。おさらいしておくと、リフレーションには二つの意味がある。 需要を刺激し経済活動を拡大してデフレーションを克服するための政府および中央銀行による財政/金融政策のこと。 景気後退期の直後、すなわち景気回復の初期の局面で、ほどほどのインフレ率と... ビジネスに役立つ経済金融英語 第4回:インフレ、デフレ、ディスインフレ - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
最近は「リフレ」とか「リフレトレード」という言葉を耳にして「そうですねえ・・・」と相手の調子に合わせつつ目が泳いだり冷や汗をかいたりした方も多いのでは? この言葉が分かりにくいのは、①経済状況とその経済状況を実現する政策の両面で使われることが多い、②最近は新型コロナウイルス危機からの復興を目指す政策の意味で使われることも多く、使われ方が曖昧になっている、③そもそもメディアや学者によって明確に定義されていない(らしい)、したがって④「リフレトレード」とは、何を目指しているのか、どういう取引なの... ビジネスに役立つ経済金融英語 第3回:リフレーション - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
Nothing lasts forever — not even a stock market that keeps going up, up and up.This week, just days after its 11-year anniversary, investors unceremoniously said goodbye to the longest-running bull market in history.Then the bears took over.鈴木訳:この世に永遠に続くものなど何もない――上げに上げている株式市場であっても。今週、11年目の記念日を祝ったわずか数日後に、史上最長を記録した上昇相場に投資家たちはあっさりと別れを告げたのだ。そして下げ相場が後を引き継いだ。(”Stocks Enter Bear Market. Wha... ビジネスに役立つ経済金融英語 第2回:「調整」「下げ相場」と「ドローダウン」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
第1回は比較的軽い話題から。ダウ・ジョーンズ工業株価平均® (Dow Jones Industrial Average:ダウ平均)とS&P500種株価指数(S&P 500®)の、意外と知られていない特徴をご紹介する。両指数を算出、提供しているのは同一会社である。元々は由来、提供会社ともに異なっていたが、業者の合従連衡が進み、2012年にS&Pインデックス社とダウ・ジョーンズ・インデックス社が統合してS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が設立されたi。ダウ平均の構成銘柄数はわずか30銘柄と、ニューヨーク取引所(2,873銘柄、時価総額約2,8... ビジネスに役立つ経済金融英語 第1回:米国株式って「ダウ」のこと? 株式指数をめ... - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
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鈴木 立哉
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