Dec 27th, 2023

ビジネスに役立つ経済金融英語 第25回: マグニフィセント・セブン (the Magnificent Seven)


12月17日付『ウォールストリートジャーナル』紙に”It’s the Magnificent Seven’s Market. The Other Stocks Are Just Living in It.(マグニフィセント・セブン(壮大な7社))の市場。他の株式はただ存在するだけ)”という、かなり刺激的なタイトルの記事が載った。サブタイトルは”Big tech stocks have jumped 75% in 2023—and now make up about 30% of the S&P 500(2023年にハイテク株が75%跳ね上がり、S&P 500の約30%を占めるようになった)”だ(本稿における辞書や記事の翻訳、太線、下線、注などの挿入は、特に断りのない限りすべて鈴木)。

 

(1)「壮大な7社」の華麗なるパフォーマンス

Big tech stocks reclaimed their position as the market’s leaders this year. Just how far ahead of the pack have they run? (大手ハイテク株が今年、市場のリーダーとしての地位を取り戻した。彼らは「その他大勢」をどれだけを引き離しているのか?)

 

Collectively, the stocks known as the Magnificent Seven—Apple, Microsoft, Alphabet, Amazon.com, Nvidia NVDA, Tesla and Meta Platforms—have jumped 75% in 2023, leaving the other 493 companies in the S&P 500 in their dust. (Those have risen a more modest 12%, while the index as a whole is up 23%.)(「マグニフィセント・セブン」として知られる株式群―アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズ―は2023年に75%も跳ね上がり、S&P 500株価指数を構成する他の493社のパフォーマンス(12%と控えめな上昇にとどまり、指数全体では23%の上昇だった)を大きく引き離した。

 

The Magnificent Seven stocks have swelled to represent about 30% of the S&P 500’s market value, according to Goldman Sachs Global Investment Research. That is approaching the highest-ever share for any seven stocks.(ゴールドマン・サックス・グローバル・インベストメント・リサーチによると、これら「マグニフィセント・セブン」の株式は、S&P 500の時価総額の約30%を占めるまでに膨らんだ。これは、歴史上どの7銘柄の組み合わせよりも高い時価総額シェアに近づいている)

 

“It’s a mind-blowing number to me when I think about an index that’s supposed to represent such a broad group of companies,” said Ann Miletti, head of active equity at Allspring Global Investments, of the wide outperformance gap.(「S&P 500株価指数はかなり幅広い企業群を代表するはずですが、その中でこれほど大きなパフォーマンスのギャップが生じていることには、正直かなり驚いています」と、オールスプリング・グローバル・インベストメンツのアクティブ・エクイティ部門責任者アン・ミレッティは述べている。)

 

(”It’s the Magnificent Seven’s Market. The Other Stocks Are Just Living in It.”(マグニフィセント・セブンの市場。他の株式はただ存在するだけ)

By Hardika Singh. Dec. 17, 2023, The Wall Street Journal. 有料記事です)

https://www.wsj.com/finance/stocks/its-the-magnificent-sevens-market-the-other-stocks-are-just-living-in-it-5d212f95?mod=Searchresults_pos1&page=1

 

この記事は、次に「マグニフィセント・セブン」が世界の株式市場でいかに大きな勢力であるかを指摘する。

 

(2)各国市場を上回るほどの時価総額

The influence of the big tech stocks is massive on a global scale, too. Within the MSCI All Country World Index—a benchmark that claims to cover about 85% of the global investible equity market—the combined weighting of the Magnificent Seven is larger than that of all of the stocks from Japan, France, China and the U.K.  (ハイテク株の影響力は、世界規模でも莫大である。MSCIオールカントリーワールドインデックス(世界の投資可能な株式市場の約85%をカバーするとされるベンチマーク)において、「マグニフィセント・セブン」の組み入れ比率は、日本、フランス、中国、イギリスの全株式の組み入れ比率を上回っている

 

https://www.wsj.com/finance/stocks/its-the-magnificent-sevens-market-the-other-stocks-are-just-living-in-it-5d212f95?mod=Searchresults_pos1&page=1

 

ただこの部分は若干ミスリーディングだと思う。記事で述べているのはあくまでもMSCIオールカントリーワールドインデックスにおける「マグニフィセント・セブン」と日本、フランス、中国、イギリスの組み入れ比率の比較に過ぎず、株式市場の時価総額ではないからだ。そこで私(鈴木)は実際の時価総額を調べてみることにした。すると、各社および各国の市場指数の時価総額は次の通りであることが判明した。

 

(3)(a)「マグニフィセント・セブン」の時価総額


*出所:Googleで鈴木が検索。2023年12月20日の株価に基づく。単位:兆ドル

 

(3)(b)英仏中日の株式市場の時価総額

*出所:岡三証券のウェブ記事「外国株式投資の魅力」から。データは岡三証券作成。2023年10月末現在。数値はいずれも単位:兆ドル

 

以上から、この7社だけで、英仏中日4市場の時価総額合計の6割に達しており、個別に見ても、たとえばアップルとマイクロソフトは、それぞれ単独で英国、フランス市場全体とほぼ互角か上回っており、いかに存在が大きいか、ということがわかる。

 

・・・とまあ、ここまでは記事を前からそのまま紹介したが、以下はこの記事の続きをChatGPTに英語で7点に要約させて修正、翻訳したものである(したがって文責は鈴木にある)。

 

(4)上の(1)と(2)に続く記事の要点7つ。

  1. Market concentration concerns: A few stocks, mainly in tech, drive most market gains, making the market vulnerable to downturns if these stocks fall.(市場集中の懸念:ハイテク株を中心とするごく少数の株式が市場の上昇の大部分を占めており、これらの株価が下落すると市場全体が下落しやすい状態となっている)
  2. Response to Federal Reserve’s actions: As the Federal Reserve kicked off rate hikes, big tech stocks tumbled, suddenly facing competition from less-risky investments with the ascent of interest rates.(米連邦準備理事会(FRB)による政策措置への反応:FRBが利上げを開始すると大手ハイテク株は急落し、金利上昇に伴う低リスク投資との競争にいきなり直面した)
  3. 2022 market performance: The top seven tech stocks, “The Magnificent Seven,” lost 40% in value, a $4.7 trillion loss, while other S&P 500 stocks dropped 12%.(2022年の市場パフォーマンス:主要7社のハイテク株「マグニフィセント・セブン」が40%下落して時価総額で7兆ドルを失ったのに対し、S&P 500の残りの株式は12%下落した)
  4. 2023 tech stock rally: Most investors expected more of the same in 2023. Instead, big tech embarked on a furious rally that overcame a banking-sector crisis, worries about a government debt default, and wars in the Middle East and Europe.(2023年のハイテク株の急騰:2023年も同じような展開が懸念されたが、実際はハイテク株が急回復し、銀行危機や政府の債務不履行の懸念、中東とヨーロッパの戦争を乗り越えた)
  5. Behind the blockbuster gains : Artificial-intelligence hype took Wall Street by storm, coupled with strong economic data and easing inflation, fueling bets that interest rates have peaked, giving tech stocks another lift.(急回復の背景:人工知能(AI)の大流行と力強い経済データ、インフレ率の緩和に加え、金利がピークに達したとの予測がハイテク株をさらに後押ししたことである)
  6. Individual tech giants’ growth: Microsoft has rallied 55% in 2023, with Apple adding 52%, and Nvidia shares more than tripling.(大手ハイテク株の大幅上昇:マイクロソフトは2023年に55%上昇し、アップルは52%上昇、エヌビディアの株価は3倍以上になった)
  7. Future investment strategies: Some analysts say they don’t expect tech stocks’ dominance to extend into next year, betting instead that beaten-down sectors such as industrials, materials, and transportation will outperform.(将来の投資戦略:一部のアナリストは、ハイテク株の優位が来年も続くとは考えておらず、代わりに産業、素材、運輸などこれまで低迷してきたセクターが好成績を収めると予想している)((1)と(2)を下敷きに鈴木が作成)

 

 

すでによく知られているように、元々グーグル(現在のAlphabet)、アマゾン、フェイスブック(現在のMeta)、アップルの4社がGAFA(ガーファ)、またはこれにマイクロソフト(Microsoft)を加えて、GAFAM(ガーファム)という言葉が出回るようになったのは2010年からではないだろうか。この主要5銘柄にエヌビディアとテスラを加えた7銘柄が「マグニフィセント7」と呼ばれ、2023年にそのパフォーマンスが圧倒的になったために最近はこの言葉がもてはやされている。そのまま訳せば「華麗なる七人(七社)」ということになるが、その一方で筆者は「市場の集中」、つまり少数の支配的な株式が市場の大部分の利益を牽引しており、これら少数の銘柄が揺らぐと市場全体が下落のリスクにさらされる懸念を指摘している。世界中の株式市場がこの7銘柄の影響を受けており、その動向に目が離せない。

 

本稿の校了直前に次の記事を見つけた。

「壮大な7社」がマネー席巻 0.03%が時価総額1割握る

(2023年12月26日付日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1970X0Z11C23A2000000/

ご参考まで(有料記事です)。

 

(余談)

年末でもあるので、個人的な思い出も含めた映画のご紹介をしておきたい。

 

The Magnificent Seven(日本語のタイトルは「荒野の七人」)は、元々アメリカで大ヒットした西部劇のタイトルだ。出演はユル・ブリンナーとスティーブ・マックイーンなど。当時の雰囲気をそのまま伝えるトレーラーがこれ。

 

映画『荒野の七人』(1960年)のトレーラー(予告編)

https://www.youtube.com/watch?v=eaZPYkYlPkg

 

後に第二作『続・荒野の七人』(1966年)、第三作『新・荒野の七人 馬上の決闘』(1969年)、第四作『荒野の七人・真昼の決闘』(1972年)などの続編が制作された。私(鈴木)は1970年頃にテレビの洋画劇場で見て大興奮したことを覚えている。

 

そして『荒野の七人』は、黒澤明監督の日本映画『七人の侍』(1954年)の舞台を西部開拓時代のメキシコに移して描いたリメイク映画である。両方観るとわかるが、舞台が違うだけで登場人物の人物描写も役割もストーリー展開もほとんど同じ。ただ、映画の深みが全然違うと私は思う。私(鈴木)が初めて『七人の侍』を観たのは1973年。場所は中学校の体育館、学校行事の一環として観たのだが、『荒野の七人』に比べると地味な印象であまり面白いと思わなかった。だが1988年の年末~正月に英語字幕付きのビデオを見て、中学時代の印象は自分が幼かったからだと実感し、感動のあまり4日間で4回観た。

 

英語字幕付きのトレーラーがこれ。

映画『七人の侍』(1954年)のトレーラー(英語の字幕付き)

https://www.youtube.com/watch?v=B5F8il80vdA

 

そして上の二つをベースにした映画『マグニフィセント・セブン』が2017年に公開されていた。これがそのトレーラー(日本語字幕付きです)。私(鈴木)はこの原稿を作成する過程で知ったのでまだ観ていません。

 

『マクグニフィセント・セブン』(2017年)のトレーラー

https://www.youtube.com/watch?v=xL-X0xSYBbg

 

年末年始にどれか一つでもご覧になることをお勧めします(私は最新版を見てみます)。

今年もお世話になりました。次回は来年3月です。よいお年を。

 

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