ビジネスに役立つ経済金融英語 第25回: マグニフィセント・セブン (the Magnificent Seven)


12月17日付『ウォールストリートジャーナル』紙に”It’s the Magnificent Seven’s Market. The Other Stocks Are Just Living in It.(マグニフィセント・セブン(壮大な7社))の市場。他の株式はただ存在するだけ)”という、かなり刺激的なタイトルの記事が載った。サブタイトルは”Big tech stocks have jumped 75% in 2023—and now make up about 30% of the S&P 500(2023年にハイテク株が75%跳ね上がり、S&P 500の約30%を占めるようになった)”だ(本稿における辞書や記事の翻訳、太線、下線、注などの挿入は、特に断りのない限りすべて鈴木)。
(1)「壮大な7社」の華麗なるパフォーマンス
Big tech stocks reclaimed their position as the market’s leaders this year. Just how far ahead of the pack have they run? (大手ハイテク株が今年、市場のリーダーとしての地位を取り戻した。彼らは「その他大勢」をどれだけを引き離しているのか?)
Collectively, the stocks known as the Magnificent Seven—Apple, Microsoft, Alphabet, Amazon.com, Nvidia NVDA, Tesla and Meta Platforms—have jumped 75% in 2023, leaving the other 493 companies in the S&P 500 in their dust. (Those have risen a more modest 12%, while the index as a whole is up 23%.)(「マグニフィセント・セブン」として知られる株式群―アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズ―は2023年に75%も跳ね上がり、S&P 500株価指数を構成する他の493社のパフォーマンス(12%と控えめな上昇にとどまり、指数全体では23%の上昇だった)を大きく引き離した。
The Magnificent Seven stocks have swelled to represent about 30% of the S&P 500’s market value, according to Goldman Sachs Global Investment Research. That is approaching the highest-ever share for any seven stocks.(ゴールドマン・サックス・グローバル・インベストメント・リサーチによると、これら「マグニフィセント・セブン」の株式は、S&P 500の時価総額の約30%を占めるまでに膨らんだ。これは、歴史上どの7銘柄の組み合わせよりも高い時価総額シェアに近づいている)
“It’s a mind-blowing number to me when I think about an index that’s supposed to represent such a broad group of companies,” said Ann Miletti, head of active equity at Allspring Global Investments, of the wide outperformance gap.(「S&P 500株価指数はかなり幅広い企業群を代表するはずですが、その中でこれほど大きなパフォーマンスのギャップが生じていることには、正直かなり驚いています」と、オールスプリング・グローバル・インベストメンツのアクティブ・エクイティ部門責任者アン・ミレッティは述べている。)
(”It’s the Magnificent Seven’s Market. The Other Stocks Are Just Living in It.”(マグニフィセント・セブンの市場。他の株式はただ存在するだけ)
By Hardika Singh. Dec. 17, 2023, The Wall Street Journal. 有料記事です)
この記事は、次に「マグニフィセント・セブン」が世界の株式市場でいかに大きな勢力であるかを指摘する。
(2)各国市場を上回るほどの時価総額
The influence of the big tech stocks is massive on a global scale, too. Within the MSCI All Country World Index—a benchmark that claims to cover about 85% of the global investible equity market—the combined weighting of the Magnificent Seven is larger than that of all of the stocks from Japan, France, China and the U.K. (ハイテク株の影響力は、世界規模でも莫大である。MSCIオールカントリーワールドインデックス(世界の投資可能な株式市場の約85%をカバーするとされるベンチマーク)において、「マグニフィセント・セブン」の組み入れ比率は、日本、フランス、中国、イギリスの全株式の組み入れ比率を上回っている)
ただこの部分は若干ミスリーディングだと思う。記事で述べているのはあくまでもMSCIオールカントリーワールドインデックスにおける「マグニフィセント・セブン」と日本、フランス、中国、イギリスの組み入れ比率の比較に過ぎず、株式市場の時価総額ではないからだ。そこで私(鈴木)は実際の時価総額を調べてみることにした。すると、各社および各国の市場指数の時価総額は次の通りであることが判明した。
(3)(a)「マグニフィセント・セブン」の時価総額
*出所:Googleで鈴木が検索。2023年12月20日の株価に基づく。単位:兆ドル
(3)(b)英仏中日の株式市場の時価総額
*出所:岡三証券のウェブ記事「外国株式投資の魅力」から。データは岡三証券作成。2023年10月末現在。数値はいずれも単位:兆ドル
以上から、この7社だけで、英仏中日4市場の時価総額合計の6割に達しており、個別に見ても、たとえばアップルとマイクロソフトは、それぞれ単独で英国、フランス市場全体とほぼ互角か上回っており、いかに存在が大きいか、ということがわかる。
・・・とまあ、ここまでは記事を前からそのまま紹介したが、以下はこの記事の続きをChatGPTに英語で7点に要約させて修正、翻訳したものである(したがって文責は鈴木にある)。
(4)上の(1)と(2)に続く記事の要点7つ。
- Market concentration concerns: A few stocks, mainly in tech, drive most market gains, making the market vulnerable to downturns if these stocks fall.(市場集中の懸念:ハイテク株を中心とするごく少数の株式が市場の上昇の大部分を占めており、これらの株価が下落すると市場全体が下落しやすい状態となっている)
- Response to Federal Reserve’s actions: As the Federal Reserve kicked off rate hikes, big tech stocks tumbled, suddenly facing competition from less-risky investments with the ascent of interest rates.(米連邦準備理事会(FRB)による政策措置への反応:FRBが利上げを開始すると大手ハイテク株は急落し、金利上昇に伴う低リスク投資との競争にいきなり直面した)
- 2022 market performance: The top seven tech stocks, “The Magnificent Seven,” lost 40% in value, a $4.7 trillion loss, while other S&P 500 stocks dropped 12%.(2022年の市場パフォーマンス:主要7社のハイテク株「マグニフィセント・セブン」が40%下落して時価総額で7兆ドルを失ったのに対し、S&P 500の残りの株式は12%下落した)
- 2023 tech stock rally: Most investors expected more of the same in 2023. Instead, big tech embarked on a furious rally that overcame a banking-sector crisis, worries about a government debt default, and wars in the Middle East and Europe.(2023年のハイテク株の急騰:2023年も同じような展開が懸念されたが、実際はハイテク株が急回復し、銀行危機や政府の債務不履行の懸念、中東とヨーロッパの戦争を乗り越えた)
- Behind the blockbuster gains : Artificial-intelligence hype took Wall Street by storm, coupled with strong economic data and easing inflation, fueling bets that interest rates have peaked, giving tech stocks another lift.(急回復の背景:人工知能(AI)の大流行と力強い経済データ、インフレ率の緩和に加え、金利がピークに達したとの予測がハイテク株をさらに後押ししたことである)
- Individual tech giants’ growth: Microsoft has rallied 55% in 2023, with Apple adding 52%, and Nvidia shares more than tripling.(大手ハイテク株の大幅上昇:マイクロソフトは2023年に55%上昇し、アップルは52%上昇、エヌビディアの株価は3倍以上になった)
- Future investment strategies: Some analysts say they don’t expect tech stocks’ dominance to extend into next year, betting instead that beaten-down sectors such as industrials, materials, and transportation will outperform.(将来の投資戦略:一部のアナリストは、ハイテク株の優位が来年も続くとは考えておらず、代わりに産業、素材、運輸などこれまで低迷してきたセクターが好成績を収めると予想している)((1)と(2)を下敷きに鈴木が作成)
すでによく知られているように、元々グーグル(現在のAlphabet)、アマゾン、フェイスブック(現在のMeta)、アップルの4社がGAFA(ガーファ)、またはこれにマイクロソフト(Microsoft)を加えて、GAFAM(ガーファム)という言葉が出回るようになったのは2010年からではないだろうか。この主要5銘柄にエヌビディアとテスラを加えた7銘柄が「マグニフィセント7」と呼ばれ、2023年にそのパフォーマンスが圧倒的になったために最近はこの言葉がもてはやされている。そのまま訳せば「華麗なる七人(七社)」ということになるが、その一方で筆者は「市場の集中」、つまり少数の支配的な株式が市場の大部分の利益を牽引しており、これら少数の銘柄が揺らぐと市場全体が下落のリスクにさらされる懸念を指摘している。世界中の株式市場がこの7銘柄の影響を受けており、その動向に目が離せない。
本稿の校了直前に次の記事を見つけた。
「壮大な7社」がマネー席巻 0.03%が時価総額1割握る
(2023年12月26日付日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1970X0Z11C23A2000000/
ご参考まで(有料記事です)。
(余談)
年末でもあるので、個人的な思い出も含めた映画のご紹介をしておきたい。
The Magnificent Seven(日本語のタイトルは「荒野の七人」)は、元々アメリカで大ヒットした西部劇のタイトルだ。出演はユル・ブリンナーとスティーブ・マックイーンなど。当時の雰囲気をそのまま伝えるトレーラーがこれ。
映画『荒野の七人』(1960年)のトレーラー(予告編)
https://www.youtube.com/watch?v=eaZPYkYlPkg
後に第二作『続・荒野の七人』(1966年)、第三作『新・荒野の七人 馬上の決闘』(1969年)、第四作『荒野の七人・真昼の決闘』(1972年)などの続編が制作された。私(鈴木)は1970年頃にテレビの洋画劇場で見て大興奮したことを覚えている。
そして『荒野の七人』は、黒澤明監督の日本映画『七人の侍』(1954年)の舞台を西部開拓時代のメキシコに移して描いたリメイク映画である。両方観るとわかるが、舞台が違うだけで登場人物の人物描写も役割もストーリー展開もほとんど同じ。ただ、映画の深みが全然違うと私は思う。私(鈴木)が初めて『七人の侍』を観たのは1973年。場所は中学校の体育館、学校行事の一環として観たのだが、『荒野の七人』に比べると地味な印象であまり面白いと思わなかった。だが1988年の年末~正月に英語字幕付きのビデオを見て、中学時代の印象は自分が幼かったからだと実感し、感動のあまり4日間で4回観た。
英語字幕付きのトレーラーがこれ。
映画『七人の侍』(1954年)のトレーラー(英語の字幕付き)
https://www.youtube.com/watch?v=B5F8il80vdA
そして上の二つをベースにした映画『マグニフィセント・セブン』が2017年に公開されていた。これがそのトレーラー(日本語字幕付きです)。私(鈴木)はこの原稿を作成する過程で知ったのでまだ観ていません。
『マクグニフィセント・セブン』(2017年)のトレーラー
https://www.youtube.com/watch?v=xL-X0xSYBbg
年末年始にどれか一つでもご覧になることをお勧めします(私は最新版を見てみます)。
今年もお世話になりました。次回は来年3月です。よいお年を。
過去の記事一覧
今回は少し軽い話題を。テーマはスウィフトフレーション(Swiftflation)。テレビ東京では2度にわたって放映されたので、かなり大きな話題かと興味を抱いた。1度目は8月10日(木)の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」。この日に米労働省が発表した7月の消費者物価指数(CPI)インフレ率が前年同月比で3.2%となり、13カ月ぶりに加速したというのがニュースのメインテーマだった。まず米国の消費者物価指数の推移を確認しよう(本稿における辞書や記事の翻訳、太線、下線、注などの挿入は、特に断りのない限りすべて鈴木)。 (1)... ビジネスに役立つ経済金融英語 第24回: スウィフトフレーション(Swiftflation) - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
昨年の今頃は、米中間の経済的対立を意味する「デカップリング(decoupling)」が盛んに報道されていたのだが、ここ数カ月で一気にバズ化(流行語化)したのが「デリスキング(de-risking)」だ。最近よく目や耳にするようになったな、と感じる読者も多いかもしれない。de-riskingは、辞書を引くと「リスク低減」「リスクの可能性を減らす」という意味が出てくるが、この言葉が「新たな」経済用語として見直され、注目されるようになったのは今年の3月30日、フォンデアライエン欧州委員長が行った中国との関係についての演説以降... ビジネスに役立つ経済金融英語 第23回: デカップリング(decoupling)からデリス... - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
第18回では「グリーンウォッシュ(Greenwash:表面だけの環境対策)』を取り上げた。ことさらに説明はしなかったが「グリーン〇〇」とは要するに「環境関連の〇〇」あるいは「環境に配慮した○○」といった漠然とした意味である。今回は、そのような表現の中から、単独で用語だけではピンとこない、あるいは誤解を招きやすいものをいくつか紹介しよう。ただし、たとえば「環境に優しい」と一口に言ってもその含む範囲は広く、意味も使い方もさまざまであり、時間とともに変化してきたものも存在する。「グリーン・・・」とついていてもネ... ビジネスに役立つ経済金融英語 第22回: さまざまな「グリーン(Green)」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
今年3月10日のシリコンバレーバンク(資産規模で全米16位の地銀)の経営破綻をきっかけに一気に注目度が高まったDigital Bank Run(デジタル・バンク・ラン)とSilent Bank Run(サイレント・バンク・ラン)。Googleの検索件数でみるとDigital Bank Runが16,200件、Silent Bank Runが10,600件とどちらもかなり広がっているが、日本語で見ると「デジタル・バンク・ラン」の4,030件に対し、「サイレント・バンク・ラン」はわずか18 件(いずれも5月27日午後調べ)なので、日本では今のところ「デジタル・バンク・ラン」として通用してい... ビジネスに役立つ経済金融英語 第21回 Digital Bank Run、Silent Bank Run、そし... - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
1.「グローバルサウス」に対する関心の急速な高まりここにきて「グローバルサウス」(新聞等では「南半球を中心とした途上国」といった訳注がつくことが多い)に対する関心が世界的に高まっている。つい先日(2023年4月9日)のNHK日曜討論のテーマも「徹底分析 『グローバルサウス』から見た世界」で、グローバルサウスの定義に始まり、これまでの経緯や現在の位置づけなどについて専門の研究者が意見を披露しあった(1)。G-7諸国の相対的地位が低下し、ウクライナ戦争が混迷の度を深める中で、「グローバルサウス」諸国を取り込も... ビジネスに役立つ経済金融英語 第20回:グローバルサウス(Global South) - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
いきなり出てきて、今や新聞、雑誌、テレビのニュースでこの言葉を見ない日がないくらいの盛況ぶりを見せているこの言葉。新聞の見出しを見ながら「ちょ、ちょっと待ってくれ!!!」と驚き、たじろぎ、おののいている読者の方も少なくないだろう(かく言う私もその一人である)。 実は「チャットGPT(ChatGPT)」が発表されたのは2022年11月30日、たった4カ月前のこと。その後「リリースからわずか1週間後で100万人のユーザーを獲得」(2022年12月7日付WSJ。「記事3」)、そして「2カ月後には利用者が1億人を超えた」(「生成AI... ビジネスに役立つ経済金融英語 第19回:いまさら聞けない(!?)ChatGPT入門 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
1月末の日経産業新聞(日経オンラインで閲覧可)に「ESG投資に逆風 高まる『グリーンウォッシュ』批判」という興味深い記事を見つけた。タイトルは「多くのESG投資に対し『グリーンウォッシュ』ではないかとの批判が高まっている」という内容を示唆するが、記事の趣は異なる。前半は米国の動向で、高い運用成績を追求すべき年金基金や運用機関がESG(環境・社会・ガバナンス)という「政治的意図」を掲げるのは受益者(投資家)利益を犠牲にしているではないか、というESG投資そのものに対する批判の動きを伝えている。一方、後半の欧州... ビジネスに役立つ経済金融英語 第18回:「グリーンウォッシュ(Greenwash)」事始め - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
本連載の第4回でインフレーションを取り上げたのは2021年9月(https://q-leap.co.jp/financail-english04)。この月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.3%。同年1月には1.3%だったから8カ月で大幅上昇したことになるが、当時はコロナ危機によるデフレの反動、つまりベース効果(base effect:対前年比効果)がそのうち剥落してインフレ率は落ち着くだろうという見方が強かった。米連邦準備理事会(FRB)も高インフレは「一時的」(transitory)との立場で、同年のThe Economist(『エコノミスト』)誌が「2021年の言葉」の一つとし... ビジネスに役立つ経済金融英語 第17回:ShrinkflationとSkimpflation - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備理事会(FRB)は11月1日と2日に開いた政策決定会合(連邦公開市場委員会(FOMC))で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標3.00~3.25%を0.75ポイント(75ベーシス・ポイント(bp)とも言います。先月号を復習してくださいね)引き上げ、3.75~4.00%とすることを決定した。今回で6会合連続(3月、5月、6月、7月、9月、11月)での利上げ。うち6月以降の4回の利上げはいずれも通常の3倍となる0.75ポイントだった(3月の利上げ幅は0.25ポイント、5月は0.5ポイント)。年初の誘導目... ビジネスに役立つ経済金融英語 第16回:「ターミナルレート」と「ピボット」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
今回は、一般には意外と知られていない(?)「%」と「%ポイント」のお話。トリビアっぽいがビジネス用語としてはかなり重要なのでしっかりと押さえておきたい。 (1)英和辞書の定義研究社ではpercent pointでは見当たらず、percentage pointではいくつか出てくる。(以下の記事の丸括弧で囲んだ翻訳および、それ以外の日本語の説明はすべて鈴木) percéntage pòint①パーセントincrease by two percentage points 2 ポイント上がる。(『リーダーズ+プラス』)② (1) パーセント・5 percentage points 5%・s... ビジネスに役立つ経済金融英語 第15回:「%」と「%ポイント」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
英語をそのままカタカナ語で表現してそれが日本語化する、というのは今に始まった話ではない。だが最近はビジネス上の新しい専門語や抽象語が英語の発音そのままに、いきなりカタカナで表現されて広まる事例が目立ってきたようだ。新しい日本語をつくっても意味がわからないだろうし、既存の日本語を使って一言で訳そうとしても、従来の意味や語感、使い方に引っ張られて新味が出ない。意味をきちんと伝えようとすると、原語一語を日本語一語で表現しにくいために、1ワードまたは1フレーズの英語をひとまず一言のカタカナで表現してそ... ビジネスに役立つ経済金融英語 第14回 ウェルビーイング Well-being - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
米国は2022年1-3月期(第1四半期)に続き、第2四半期も実質ベースでマイナス成長となった。金融レポート等では2四半期連続のマイナス成長になるとあっさり「景気後退」と訳すことが多いが、英語ではTechnical Recession、最近は「景気後退」と分けて、あるいは注釈をつける形で「テクニカル・リセッション入り」という訳語も見かけるようになった。今回はこの話題を取り上げる。 まずは第2四半期の成長率が発表された7月28日の『ウォーストリート・ジャーナル』紙の記事から(有料記事です。なお本稿での太字、挿入はすべて鈴木)... ビジネスに役立つ経済金融英語 第13回 Technical Recession - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
今月は、日米両国で中央銀行総裁の「一言」が物議を醸し出しました。次は、本年5月4日に行われたパウエルFRB議長の記者会見から(翻訳、太字、下線はすべて鈴木) Now, I would say I think we have a good chance to have a soft or softish landing, or outcome, if you will. And I’ll give you a couple of reasons for that. One is, households and businesses are in very strong financial shape. You’re looking at, you know, excess savings on balance sheets; excess in the sense that they’re substantially large... ビジネスに役立つ経済金融英語 第12回 ”Softish” landing - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
以下は、4月27日付のニューヨークタイムズ紙のOpinion欄から(本稿での翻訳、下線、太字はすべて鈴木)。 Dr. Anthony Fauci, President Biden’s chief medical adviser, told “PBS News Hour” that “certainly” America is now “out of the pandemic phase” of Covid-19 as our rates of new infections, hospitalizations and deaths continue to ebb. But, he added, “We’re not going to eradicate this virus.” Our best hope is to “keep that level very low, and intermittently vaccinate people,” possibly as often as... ビジネスに役立つ経済金融英語 第11回 PandemicからEndemicへ - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
まず、次の文章をお読みいただきたい(本稿での翻訳、下線、太字はすべて鈴木) By the way, I can’t help mentioning that recent events have also confirmed the truism that many, perhaps most men who pose as tough guys … aren’t. Putin’s response to failure in Ukraine has been extremely Trumpian: insisting that his invasion is all going “according to plan,” refusing to admit having made any mistakes and whining about cancel culture. I’m half expecting him to release battle maps crudely modified ... ビジネスに役立つ経済金融英語 第10回: Cancel Culture - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
日本経済新聞「経済教室」の2月8日(火)と9日(水)に「ジョブ型雇用とリスキリング」という共通テーマで論文が2本掲載された。8日が「企業、労働者の自律 後押しを」(阿部正浩・中央大学教授)(「論文1」)(1)、9日が「人的資本投資の増大 促進も」(大湾秀雄・早稲田大学教授)(「論文2」)(2)。両者をあたかも1本の論文のように実に荒っぽく要約した(本稿の太字、下線、英語の日本語訳はすべて鈴木): デジタルトランスフォーメーション(DX)が進行して、情報通信技術(ICT)・人工知能(AI)分野を中心に企業... ビジネスに役立つ経済金融英語 第9回:Reskilling - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
1月28日(金)付日本経済新聞のコラム「大機小機」のタイトルは「人減る日本、活路に二つの難題」。日本の生産性を上げるには、労働市場の硬直化と暗記偏重の学校教育を見直す必要があるという新味のない内容だったが、次のような記述が目を引いた(引用文の翻訳、太字および下線はすべて鈴木)。 ……先日、ニューヨーク・タイムズ(デジタル版1月4日付)に、米国が大離職時代を迎えている、という記事が掲載された。それによると、昨年11月の自発的離職者がこの20年間で最大を記録した、という。しかも自発的離職者の賃金が離職し... ビジネスに役立つ経済金融英語 第8回:The Great Resignation - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
皆様、あけましておめでとうございます。 Time誌(2021年12月27日/2022年1月3日号)は「今年の人(Person of the Year)」特集で、テスラ(Tesla)とスペースX(Space X)の創業者イーロン・マスク(Elon Musk)氏を選出したが、本稿のテーマは同誌の同じ号に載った “Language”、つまり「今年の言葉」。紹介された12の用語のうち、経済金融に近そうだと思われる三つを紹介する(英語の後の翻訳はすべて鈴木)。(1) NFTInitialism: Non-fungible token:a digital file that cannot be copied, thus allowing certifies ownership... ビジネスに役立つ経済金融英語 第7回:Time誌が選んだ「2021年 今年のことば」 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
さる11月13日(土)に予定より1日後れで閉幕した「COP26」についてのミニ知識を。 まず、BBCの以下のビデオ(2分)をご覧下さい(英語。日本語の字幕付きです)。https://www.bbc.com/japanese/video-59129799 会議の正式名称:「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(The 26th Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)」。「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第26回締約国会議(平たく言えば「関係者会議」)(COP26)」というわけ。COPは1995年にドイツのベルリンで... ビジネスに役立つ経済金融英語 第6回:今さら聞けない(?)COP26の基礎の基礎 - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
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「アベノミクス」「黒田バズーカ」という言葉がはやり始めた8年ほど前から、デフレ、リフレ、ディスインフレなど似たような言葉が次々と出てきて混乱する向きもあるのではないか。そこで前回は、その中で多くの人が最も冷や汗をかきそうな「リフレーション」を取り上げた。おさらいしておくと、リフレーションには二つの意味がある。 需要を刺激し経済活動を拡大してデフレーションを克服するための政府および中央銀行による財政/金融政策のこと。 景気後退期の直後、すなわち景気回復の初期の局面で、ほどほどのインフレ率と... ビジネスに役立つ経済金融英語 第4回:インフレ、デフレ、ディスインフレ - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
最近は「リフレ」とか「リフレトレード」という言葉を耳にして「そうですねえ・・・」と相手の調子に合わせつつ目が泳いだり冷や汗をかいたりした方も多いのでは? この言葉が分かりにくいのは、①経済状況とその経済状況を実現する政策の両面で使われることが多い、②最近は新型コロナウイルス危機からの復興を目指す政策の意味で使われることも多く、使われ方が曖昧になっている、③そもそもメディアや学者によって明確に定義されていない(らしい)、したがって④「リフレトレード」とは、何を目指しているのか、どういう取引なの... ビジネスに役立つ経済金融英語 第3回:リフレーション - ビジネス英語研修のQ-Leap株式会社 |
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鈴木 立哉
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